正月飾りはいつからいつまで?玄関や神棚で縁起の良い新年を

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正月飾りは、新年に来臨する年神さまをお迎えするための目印であり、家内を清める結界でもあります。門松は依代として玄関口を荘厳し、しめ縄・しめ飾りは聖と俗を分け、鏡餅は御神鏡に見立てて年の力をいただく供え物です。本記事では、神道の考え方と歴史的背景から正月飾りの意味を整理し、飾り始めの時期(事始めから二十八日が目安、三十一日の一夜飾りは避ける)と、松の内の違いにみえる地域差(関東は七日、関西は十五日が中心)をわかりやすく解説します。

あわせて、玄関や神棚での配置の基本、松の内明けの片付け、鏡開きの作法、どんど焼きへの納め方や自宅で清めて処分する際の配慮まで、実務的な流れも丁寧にご案内します。

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正月飾りの意味と歴史 年神さまを迎える作法として

正月飾りは、新年に家々へ来臨するとされる年神(歳神)さまをお迎えし、家内安全と五穀豊穣を祈るための「しるし」と「依代」です。門松は神さまが降り立つ目印であり、注連縄(しめなわ)・しめ飾りは俗界と聖域を区切る結界としての役割を担います。鏡餅は丸い形を御神鏡に見立て、年神さまの御魂をお迎えして供えるもので、のちに分かちいただくことで「年の力」を授かると考えられてきました。これらの作法は中世以降に整い、近世には町家から農家まで広く定着し、地域の歳時として受け継がれています。

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いつ飾るか 「松の内」と年末のしきたり

本来は12月13日の「事始め」から年迎えの準備が始まり、28日までに飾りを整えるのが上作法とされてきました。

29日は「二重苦」に通じるとして避ける地域が多く、31日の「一夜飾り」は神さまに対して粗略だとされ好まれません。どうしても年末ぎりぎりになる場合でも30日までに整えるのが無難です。松の内は、関東では正月7日まで、関西では15日(小正月)までとする傾向が強く、地域差がはっきり見られます。

地域・慣習 飾り始めの目安 松の内の期間 片付けの目安 備考
関東一円 12月13日以降、28日までが望ましい 1月1日〜1月7日 1月7日 七草で区切りとする家が多いです。
近畿・西日本の一部 12月13日以降、28日までが望ましい 1月1日〜1月15日 1月15日前後 小正月まで飾る地域が根強いです。
北陸・東北の一部 12月中旬以降 1月1日〜1月15日または20日 1月15日または20日 雪国では「どんど焼き」が20日前後の例も見られます。

※町内会や氏神の神社が示す日取りがあれば、それに合わせるのがいちばん丁寧です。

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何をどこに飾るか 玄関・門口・神棚の整え方

玄関は家の顔であり、年神さまを迎える入り口です。門松は門口または玄関脇の左右に一対で立て、家に入る軸線を明確にします。しめ飾りは玄関扉の上方中央に、視線より高く清らかな位置に掛けます。神棚には榊を新しくし、紙垂を整えてから鏡餅をお供えします。床の間がある家では、年神さまの座として掛軸と花、鏡餅を調えます。

いずれも火気や暖房風の直撃を避け、穢れが集まりやすい場所は避けるのが基本です。

https://houkoji.jp/genkan-power/

代表的な正月飾りの意味と据え方

飾り 意味 推奨の場所・据え方 片付けの目安
門松 年神さまの依代と標識 門口や玄関脇に一対で設置 松の内明けに下げる
しめ縄・しめ飾り 結界と清浄の標 玄関上部中央や台所の神、車の前方など 松の内明けに下げる
鏡餅 御神鏡に見立てた供物 神棚や床の間、店なら神棚付近 鏡開きの後にいただく

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いつまで飾るか 松の内明けと鏡開き

飾りを下げるのは、関東では1月7日の松の内明け、関西では15日前後が目安です。鏡餅は神事の仕上げとして「鏡開き」を行い、関東では1月11日、関西では15日または20日とする地域が多く見られます。包丁で切らず、手や木槌で「割る」「開く」と表現して、雑煮やおしるこにしていただきます。

年神さまから授かった力をわかち合う行為ですので、家族や仲間で丁寧にいただくのが作法です。

鏡開きと地域差の目安

地域 鏡開きの日 理由・背景
関東 1月11日 武家文化の名残で11日が定着
関西 1月15日または20日 小正月や20日正月の風習に連動

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処分と納め方 神社のどんど焼きと日常の配慮

神社のどんど焼きと日常の配慮

役目を終えた正月飾りは、氏神の神社で行う「どんど焼き」(左義長)に持参し、火で祓い清めてお焚き上げしていただくのが最も丁寧です。神社へ納めるまで自宅に保管する際は清浄な場所にまとめ、汚れや湿気を避けます。やむを得ず神社に納められない場合は、紙垂やわら、松葉などの天然素材の部分を塩で清め、半紙に包んで日を選んで処分します。

プラスチック部材や針金などは、感謝の言葉を述べてから素材ごとに分別し、自治体のルールに従います。商店の大きな門松やしめ飾りも同様で、地域の神社や商店会が取りまとめる日取りに合わせるとよいでしょう。

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神棚と仏壇 年迎えの整え方

神棚は年末に掃き清め、榊・注連縄(しめなわ)・紙垂を新しくしてから新年を迎えます。大晦日や三が日の間は、毎朝の拝礼に加えて御神酒と洗米、塩、水をあらためて供え、年始の感謝を伝えます。仏壇のある家では、年越し前に仏具を磨き、松の内は荒い掃除を避けて静かに手を合わせます。神仏習合の地域では、氏神参拝と菩提寺参りを年始の行事として両立させてきました。

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よくある疑問への目安 「縁起の良い日取り」と「忙しい年末」の折り合い

忙しくて28日を過ぎてしまう場合は、30日の設置でも差し支えありません。

31日の一夜飾りは避けたいところですが、やむを得ない場合は年が明けたら早めに神社へ初詣し、拝礼をもって不手際をお詫びし整えるとよいでしょう。飾りの大きさは住まいの規模に合わせ、清潔と秩序が保てることを第一に考えます。年迎えは「気持ちを整える行事」であり、かたちに囚われすぎず、氏神の指針や地域の歳時に寄り添うことが大切です。

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まとめ 年神さまを迎える準備を暮らしの中へ

正月飾りは、年神さまを迎えるための目印と結界であり、家族が新年の願いを言葉にする場づくりでもあります。飾る時期は地域の松の内に従い、下げる時期は鏡開きと合わせると流れが整います。お役目を終えた飾りは、どんど焼きで感謝を込めてお返しするか、清めて適切に処分します。日本の文化と神道の考え方に沿った作法を日々の暮らしに取り入れることで、玄関も神棚も清々しく整い、縁起の良い一年のはじまりを迎えることができます。

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