七福神は日本の神様?名前一覧とご利益、4か所の七福神巡り

七福神とは、福をもたらすとされる7つの神々を指し、商売繁盛や健康、長寿など、さまざまなご利益で日本中で信仰されています。七福神には日本の神様だけでなく、インドや中国から伝わった神も含まれ、多文化が融合した日本独自の信仰が形作られました。本記事では、七福神の名前やご利益を紹介するとともに、七福神巡りで有名な淡路島、東京・谷中、京都、鎌倉・江ノ島の4つの地域についてもご案内します。七福神巡りを通して、新年の開運を願う旅に出てみてはいかがでしょうか。

七福神とは

七福神のイラスト

七福神とは、商売繁盛や家内安全、長寿などの福をもたらすとされる七柱の神々の総称です。七福神には、日本の神様だけでなく、中国やインドから渡来した神々も含まれ、さまざまな文化が融合した結果として日本独自の信仰が生まれました。この七福神を祀ることで、豊かな暮らしや繁栄を願う風習が根付き、現在でも新年に七福神を巡る「七福神巡り」が広く行われています。

七福神はいつできた?日本の神様なのか

七福神は、実際には特定の「誰か」が作ったというわけではなく、日本の歴史の中で、さまざまな神様が時代と共に人々の信仰に応じて集まったものです。七福神として神々が揃ったのは、室町時代末期から江戸時代初期にかけてとされます。この時代、人々は福を招く神をまとめた「七福神巡り」をすることで、商売繁盛や家内安全、健康長寿など、生活の安定と発展を願いました。

七福神には、日本、インド、中国といった異なる地域や信仰の背景を持つ神々が含まれています。たとえば、恵比寿は日本固有の神様で、大黒天や弁財天はインドから、福禄寿や寿老人、布袋尊は中国から伝わりました。この多様な神々が集まった背景には、日本の多神教的な八百万の神の思想のような寛容性がありました。日本人は神道の神々だけでなく、仏教や道教の神々も福の象徴として柔軟に取り入れました。

このように、七福神は歴史的に形成され、異文化の神々が集まって日本独自の「福の神」集団として定着しました。

恵比寿神(えびすしん)

恵比寿神は、七福神の中で唯一の日本由来の神で、商業と漁業の繁栄を司る親しみ深い福の神です。笑顔で鯛と釣竿を持つ姿が特徴で、「えべっさん」とも呼ばれ、多くの商売人に愛されています。西宮神社などで毎年「十日戎(とおかえびす)」のお祭りが行われています。

項目 内容
起源 日本神話
ご利益 商売繁盛、豊漁、家内安全
特徴 釣竿と鯛を持つ姿で、特に商売繁盛の神として人気
参拝地 西宮神社(兵庫県)、今宮戎神社(大阪府)

大黒天(だいこくてん)

インドの神様から発祥した大黒天は、日本で農業と富の象徴として祀られるようになりました。福袋と小槌を持ち、大きな俵の上に立つ姿で、家庭や仕事に豊かさをもたらすとされています。穏やかな笑顔が人々に幸福感を与え、信仰されています。

項目 内容
起源 インドの神「マハーカーラ」
ご利益 豊作、食物の神、家内安全、財運
特徴 袋と小槌を持ち、米俵の上に立つ農業の神
参拝地 出雲大社(島根県)、浅草寺(東京都)

毘沙門天(びしゃもんてん)

戦いと武勇の神として知られる毘沙門天は、力強さと守護を象徴する存在です。四天王の一柱で、災厄から人々を守る神であり、武将や戦国時代の武士に崇敬されてきました。悪を退け、勝利へと導くご利益があるとされています。

項目 内容
起源 インドの戦いの神
ご利益 戦勝祈願、厄除け、開運招福
特徴 武器を持った武将のような姿で、守護のご利益がある
参拝地 鞍馬寺(京都府)、信貴山朝護孫子寺(奈良県)

弁財天(べんざいてん)

弁財天は水の神であり、芸術や学問、音楽などの才能の開花をもたらす女神です。美と知恵の象徴でもあり、芸能や学業成就を願う人々に広く信仰されています。琵琶を手にした姿が印象的で、日本の神社にも多く祀られています。

項目 内容
起源 インドの水の神「サラスヴァティー」
ご利益 芸術、学問、財運、音楽の神
特徴 琵琶を持つ女性の神で、芸術や音楽のご利益がある
参拝地 江島神社(神奈川県)、竹生島(滋賀県)

福禄寿(ふくろくじゅ)

中国の道教由来の福禄寿は、幸福、地位、長寿を表す三徳の神として親しまれています。長い頭と白髪の姿で、知恵と健康をもたらし、穏やかな暮らしを願う人々に人気です。家族円満や財運の神様としても信仰されています。

項目 内容
起源 中国の道教
ご利益 長寿、財運、健康
特徴 長い頭とひげが特徴で、幸福・富裕・長寿の神
参拝地 妙音寺(京都府)、護国寺(東京都)

寿老人(じゅろうじん)

長寿と健康を司る寿老人は、中国の道教の神で、杖と巻物を持つ姿が特徴です。鶴や鹿を従え、長寿や健康を願う人々に厚く信仰されています。人生の知恵や幸せな老後を象徴し、年配者に特に人気があります。

項目 内容
起源 中国の道教
ご利益 長寿、健康、知恵
特徴 杖と巻物を持ち、鶴や鹿を伴うことが多い
参拝地 護国寺(東京都)、千光寺(広島県)

布袋尊(ほていそん)

実在した中国の僧、布袋和尚がモデルとなった布袋尊は、丸いお腹と大きな袋で笑顔を象徴する神様です。親しみやすく、家庭円満や子宝のご利益があるとされ、笑顔と共に福をもたらすと信じられています。大きな袋の中には福徳が詰まっていると言われます。

項目 内容
起源 中国の実在の僧「布袋和尚」
ご利益 福徳、家内安全、子宝
特徴 大きな腹と笑顔が特徴で、大きな袋を持つ
参拝地 東寺(京都府)、萬福寺(京都府)

七福神巡りとは?

七福神巡りとは、七福神を祀る神社や寺院を巡礼することで、幸福や繁栄、長寿などのご利益を得るための日本の伝統的な行事です。七福神がそれぞれ異なる福をもたらす神として信仰されていることから、七柱すべてを巡ることで、人生全般にわたる福が得られるとされています。

七福神巡りの特徴

七福神巡りは、特にお正月に行われることが多く、年始に新しい年の開運を願う人々が全国各地で七福神を巡ります。地域ごとに七福神を祀る神社やお寺が定められており、神社やお寺で「七福神巡り専用の色紙」や「御朱印帳」を用意して、七カ所すべてを巡って印を集めるという楽しみ方もあります。

七福神巡りの起源と人気の理由

七福神巡りは、室町時代末期から江戸時代にかけて人気となり、江戸時代には庶民の間で広まりました。この時代、人々は縁起を担いで福を招くことを願うようになり、七福神をまとめて参拝することで「七つの福が揃う」と考えたのです。また、七福神巡りは、比較的短時間で回れることや、地域ごとに特色ある七福神巡りがあることから、観光や気軽な開運行事としても親しまれています。

有名な七福神巡りの場所

七福神巡りは、日本各地で行われる伝統的な行事で、七福神を祀る寺社を巡拝し、福を授かるとされています。以下に、東京・谷中、京都、鎌倉・江ノ島、の七福神巡りについて詳細をまとめました。

谷中七福神(東京都)

谷中七福神は、江戸時代から続く日本最古の七福神巡りの一つで、東京都台東区、荒川区、北区にまたがる7つの寺院を巡ります。

神様 寺院名 所在地 特徴
福禄寿 東覚寺 北区田端2-7-3 延徳3年(1491年)創建。赤紙仁王像が有名。
恵比寿神 青雲寺 荒川区西日暮里3-6-4 宝暦年間(1751年〜1764年)中興。花見寺としても知られる。
布袋尊 修性院 荒川区西日暮里3-7-12 天正元年(1573年)創建。花見寺の一つ。
寿老人 長安寺 台東区谷中5-2-22 正徳2年(1712年)創建。徳川家康寄進の寿老人像を祀る。
毘沙門天 天王寺 台東区谷中7-14-8 文永11年(1274年)創建。谷中墓地内に位置。
大黒天 護国院 台東区上野公園10-18 寛永2年(1625年)創建。寛永寺の子院。
弁財天 寛永寺・不忍池辯天堂 台東区上野公園2-1 寛永年間(1624年〜1645年)創建。不忍池の中島に位置。

都七福神(京都府)

都七福神は、京都市内の7つの寺社を巡る七福神巡りで、新春の風物詩として親しまれています。

神様 寺社名 所在地 特徴
恵比寿神 六波羅蜜寺 京都市東山区松原通大和大路東入2丁目轆轤町81-1 平安時代創建。空也上人が開基。
大黒天 松ヶ崎大黒天(妙円寺) 京都市左京区松ヶ崎東町31 日蓮宗の寺院で、大黒天を祀る。
毘沙門天 東寺(教王護国寺) 京都市南区九条町1 真言宗の総本山。空海が開基。
福禄寿 赤山禅院 京都市左京区修学院開根坊町18 比叡山延暦寺の塔頭。
寿老人 行願寺(革堂) 京都市中京区寺町通竹屋町上る行願寺門前町17 西国三十三所第十九番札所。
弁財天 六波羅蜜寺 京都市東山区松原通大和大路東入2丁目轆轤町81-1 恵比寿神と同じく祀られている。
布袋尊 萬福寺 京都府宇治市五ヶ庄三番割34 黄檗宗の大本山。

鎌倉・江ノ島七福神(神奈川県)

鎌倉・江ノ島七福神は、鎌倉市と藤沢市江ノ島にまたがる8つの寺社を巡る七福神巡りです。

神様 寺社名 所在地 特徴
布袋尊 浄智寺 鎌倉市山ノ内1402 鎌倉五山第四位の寺院。
弁財天 鶴岡八幡宮(旗上弁財天社) 鎌倉市雪ノ下2-1-31 源頼朝が創建した神社。
毘沙門天 宝戒寺 鎌倉市小町3-5-22 足利尊氏が建立した寺院。
寿老人 妙隆寺 鎌倉市小町2-17-20 日蓮宗の寺院。
恵比寿神 本覚寺 鎌倉市小町1-12-12 日蓮宗の本山。
福禄寿 御霊神社 鎌倉市坂ノ下3-17-3 鎌倉権五郎景政を祀る神社。
大黒天 長谷寺 鎌倉市長谷3-11-2 観音堂で知られる寺院。
弁財天 江島神社 藤沢市江の島2-3-8 宗像三女神を祀る。日本三大弁財天の一つ。

淡路島七福神巡り(兵庫県)

淡路島七福神巡りは、淡路島内に点在する7つの寺院を巡る巡礼で、島全体をめぐる構成となっているのが特徴です。それぞれの寺院で異なる七福神を祀り、商売繁盛、家内安全、健康長寿などのご利益を求めて多くの参拝者が訪れます。

神様 寺院名 所在地 特徴
大黒天 八浄寺 淡路市久留麻249 淡路島七福神巡りの中心寺院で、「八浄大黒天」として広く信仰される。
寿老人 宝生寺 洲本市五色町鮎原南谷287 自然豊かな山中に位置し、静かな環境で参拝者を迎える。
毘沙門天 覚住寺 南あわじ市賀集八幡732 戦勝祈願の毘沙門天を祀る、由緒ある寺院。
恵比寿神 萬福寺 南あわじ市市善光寺1410 豊漁の神、恵比寿神を祀り、漁業関係者や商人から信仰されている。
布袋尊 護国寺 淡路市大谷1035 布袋尊が笑顔で福をもたらすとして親しまれ、家族の平和を祈る寺院。
福禄寿 長林寺 南あわじ市灘山本206 長寿と幸福をもたらす神、福禄寿を祀り、健康と繁栄を願う場として信仰される。
弁財天 智禅寺 南あわじ市賀集鍛治屋992-1 知恵と財運の神、弁財天を祀り、音楽芸術の発展も願う。

まとめ

七福神は、日本だけでなく中国やインド由来の神々が含まれ、さまざまなご利益をもたらすとされる神々です。福や幸運を招く神として、日本独自の信仰が発展し、現代においても商売繁盛や健康長寿を祈願する人々に親しまれています。それぞれの神様に願いを込め、七福神巡りで一年の繁栄と幸運を願うのも日本ならではの伝統です。