陰陽道の八卦とは? 由来や8つの意味、風水や家相、占いとの関係

陰陽道の八卦(はっけ)は、自然界の変化や人間の営みを象徴する8つの要素で、風水や占い、家相に深く関わる概念です。その起源は古代中国の易経にあり、日本の陰陽道を通じて広まりました。本記事では、八卦の由来や8つの意味をわかりやすく解説するとともに、風水や占いでの具体的な活用例を紹介します。八卦を知ることで、日常生活や環境の調和に役立つヒントが見つかるでしょう。

八卦とは?

八卦(はっけ)は、陰陽道や風水、占いで用いられる基本的な概念で、宇宙のあらゆる現象や事象を8つの象徴で表現したものです。八卦は、中国の古典『易経(えききょう)』を基に発展し、陰陽の組み合わせから成り立っています。陰陽道を通じて日本にも伝わり、家相や占術など日常生活に深く関わる形で広まりました。

 

八卦の由来と陰陽との関係

陰陽(いんよう)は、自然界のすべてを構成する2つのエネルギーを表します。陰と陽が対立しながらも調和することで、変化と循環が生まれると考えられています。

八卦は、この陰陽の組み合わせを三段階に拡張したもので、以下のように表されます。

陽(—) 明るく、動的で、積極的な性質。

陰(--) 暗く、静的で、受容的な性質。

三段重ねた陰陽の組み合わせから、8種類の形(卦)が作られ、それぞれが天や地、火、水など自然界の象徴を表します。この8つの卦を八卦と呼びます。

八卦の8つの意味と象徴

八卦 象徴 意味・特徴
創造、発展、力強さ、陽性が最も強い状態。 天候、リーダーシップ
包容力、受容、育成、陰性が最も強い状態。 大地、母性、安定
活動、新しい始まり、驚き。 春の芽吹き、エネルギー
柔軟性、広がり、影響力。 風通し、コミュニケーション
困難、深さ、知恵、感情。 川や湖、心の内面
明るさ、知恵、情熱、エネルギーの集中。 太陽、光明、直感
静止、沈黙、止まること、内省。 山、瞑想、休息
喜び、楽しみ、和らぎ。 湖、リラクゼーション

八卦の生成

八卦の生成図

八卦(はっけ)は、古代中国の哲学である易学の中核を成す概念であり、万物の生成と変化を象徴する8つの記号として知られています。その起源は『易経』に記された「先天図」に基づくとされ、周文王や伏羲(ふっき)によって構築されたと伝えられています。

先天図では、八卦が陰陽の対立と調和を基に生成されると考えられています。まず、世界は大きく陰(--)と陽(—)という二元的なエネルギーに分けられ、これが次第に複雑な形態へと発展していきます。陰陽が重なり合うことで「爻(こう)」が形成され、これを三段重ねることで八卦が生まれました。

八卦はそれぞれ天(乾)、地(坤)、火(離)、水(坎)、雷(震)、風(巽)、山(艮)、湖(兌)を象徴し、自然界や人間社会におけるあらゆる事象を表現しています。この生成過程は、万物の秩序や調和を示すだけでなく、変化の法則を理解するための基盤となっています。

さらに、先天図における八卦の配置は、宇宙の循環や対称性を反映したものです。たとえば、乾(天)は純粋な陽を表し、坤(地)は純粋な陰を表します。このように、八卦の生成過程は、陰陽がもたらす調和と均衡の象徴として重要な意味を持ちます。

八卦の太極とは?

八卦の「太極(たいきょく)」は、易学の思想において、万物の根源を象徴する概念です。太極は、すべての存在や現象が生まれる原初の状態を指し、「一なるもの」として宇宙のすべてを包み込む存在とされています。

太極は陰陽の源とされ、そこから動きが生じて「陽(—)」と「陰(--)」が現れます。この陰陽が対立しつつも互いに調和し、交互に作用することで、次第に複雑な現象や万物が生成されます。この変化の過程を視覚的に示したものが八卦であり、太極を中心として八卦が展開していくと考えられています。

太極の概念は、静と動、陰と陽が一体となった根本的な調和を表しています。具体的には、陰陽が動き始める前の「無極」の状態が太極として定義され、その中に潜む潜在的な力が陰陽に分化する契機を生むのです。こうして陰陽が生じ、それがさらに結びついて八卦、六十四卦へと展開していきます。

太極は、宇宙や自然界のすべての変化が調和を保ちながら発展するプロセスを示し、静寂と運動、統一と分化という矛盾を内包しつつ、全体として均衡が保たれる理想的な原理を表現しています。この思想は、宇宙の秩序を理解し、人間の生き方や社会の在り方を考える際の哲学的基盤として、易学だけでなく広く中国思想全体に影響を与えています。

六十四卦とは?

六十四卦は、8つの基本卦(八卦)を上下に組み合わせることで構成されています。各卦は6本の線(爻(こう))で表され、以下のように分かれます。

陽爻(—):積極性、明るさ、動的。

陰爻(--):受容性、暗さ、静的。

六十四卦はそれぞれ異なる意味を持ち、特定の状況や未来の兆しを表します。

八卦と風水の関係

風水は、八卦を基に環境の調和を図る実践法で、住まいや都市の設計に影響を与えてきました。八卦は、方位やエネルギーの流れを示し、それぞれの方位が異なる意味を持ちます。

方位と八卦の関係

  • 乾(北西):父親、リーダーの方位。事業成功を祈願。
  • 坤(南西):母親、家庭の安定を示す方位。
  • 震(東):活動や新しい始まりを象徴。成長を促進。
  • 巽(南東):豊かさや人間関係の調和。
  • 坎(北):困難に耐える力を象徴。
  • 離(南):名声や直感を高める方位。
  • 艮(北東):若者や新しい始まりの方位。
  • 兌(西):喜びや金運の象徴。

具体例:家相における八卦

  • 家の南側()に窓を設けると、自然光が入り、家庭運や名声が向上します。
  • 東側()に庭を配置すると、家族の健康や成長に良い影響を与えます。

八卦と占いの関係

八卦は占いにおいても重要な役割を果たします。特に、易占(えきせん)や九星気学で使用され、個人の運勢や問題の解決策を見つける手段として用いられます。

易占の具体例

質問者が現在の状況について問いを立てます。
6本の棒や硬貨を用いて、ランダムに陰陽を組み合わせて卦を作ります。
出来上がった卦を八卦や六十四卦に照らし合わせ、答えを導きます。
たとえば、現在の状況に「震」が出た場合、新しい始まりや変化の兆しが訪れると読み解かれます。

八卦の現代的な活用

現代においても、八卦は風水や占術を通じて活用されています。

オフィスデザイン:従業員の健康や効率を高めるために八卦を取り入れたレイアウトを設計。
インテリア:八卦の方位に基づいて家具の配置を決定し、エネルギーの流れを最適化。
自己分析:個々の八卦の象徴を通じて、自分の性格や運勢を知る。

おわりに

八卦は、陰陽の調和と変化を象徴する体系であり、風水や占いを通じて、私たちの生活や環境に具体的な影響を与え続けています。八卦を理解することで、自分自身や周囲の世界との調和を深め、より良い選択や行動を導き出すヒントを得ることができます。ぜひ、八卦の考え方を日常に取り入れてみてはいかがでしょうか?