
節分に「恵方巻きをその年の恵方に向かって食べる」という習慣が広まりましたが、恵方とは単なる縁起の良い方向ではありません。もともとは陰陽道の方位思想に基づく概念で、年ごとに決まる特別な方角を指します。本記事では、恵方の意味と由来、方角の一覧、そしてその年の恵方がどのように決まるのかを歴史的背景とともに解説します。
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恵方とは何か
恵方とは、その年の福徳を司る神である「歳徳神(としとくじん)」がいるとされる方角です。歳徳神は五穀豊穣や幸福をもたらす神とされ、古くは新年の行事や正月の方位選びとも関係していました。
この考え方は陰陽道の方位思想に基づき、方角には吉凶があるという世界観の中で発展しました。恵方はその中でも特に「万事に吉」とされる特別な方向です。
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恵方の方角の意味一覧
恵方は実際には毎年異なりますが、方位としては4方向のいずれかに分類されます。これは方位を十干と結びつけて考える陰陽道の仕組みに由来します。
| 恵方の呼び方 | 方位 | 方角の性質(陰陽道的意味) |
|---|---|---|
| 東北東 | 東と北の間 | 物事が始まる方向とされる東の気を含む |
| 西南西 | 西と南の間 | 実りや収穫に関係する西の気を含む |
| 南南東 | 南と東の間 | 成長や発展の象徴とされる南の気を含む |
| 北北西 | 北と西の間 | 蓄積や守りの性質を持つ北の気を含む |
これらは現代の方位角で細かく示されることもありますが、本来は「東寄り」「西寄り」といった大まかな区分でした。
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恵方の由来と歴史的背景
恵方の思想は平安時代の陰陽道に由来します。宮廷では年の吉凶を占い、方角によって移動や行事を決める「方違え」という風習がありました。恵方はその中で、特に歳徳神のいる方向として重視された方位です。
節分の行事と結びついたのは比較的後世のことで、近世から近代にかけて民間行事として定着していきました。
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その年の恵方の方角の決め方
恵方は干支の「十干」によって決まります。
十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類で、これが年ごとに巡ります。恵方はこの十干の組み合わせにより4方向のいずれかに割り当てられます。
このように、十干が循環することで恵方も周期的に巡ります。
恵方はどうやって十干から決まるのか
恵方は「歳徳神(としとくじん)」がいる方角で、その位置はその年の十干(じっかん)によって定まるとされています。
十二支ではなく、十干が基準になる点が特徴です。
十干は
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸
の10種が順番に巡ります。
陰陽道では、この十干を五行思想(木火土金水)と陰陽に対応させ、さらに方位に配当します。
歳徳神はその年の「徳」が生じる方位、つまりその年の干の気が発する方向にいると考えられました。
実際の割り当ての仕組み
歴史的には細かな理論がありますが、現在まで伝わる実用的な対応は次の通りです。
| その年の十干 | 五行属性 | 歳徳神の位置(恵方) |
|---|---|---|
| 甲・己 | 木の気 | 東北東(東寄り) |
| 乙・庚 | 金の気 | 西南西(西寄り) |
| 丙・辛 | 火の気 | 南南東(南寄り) |
| 丁・壬 | 水の気 | 北北西(北寄り) |
| 戊・癸 | 土の気 | 南南東(中央の土が南に配当) |
これは、十干の五行属性と、五行に対応する方位を組み合わせた結果です。
五行と方位の対応は以下の考え方が基礎です。
| 五行 | 対応方位 |
|---|---|
| 木 | 東 |
| 火 | 南 |
| 土 | 中央(実際の方位運用では南に寄せる) |
| 金 | 西 |
| 水 | 北 |
ここに陰陽道独自の配当法が加わり、現在の「東北東・西南西・南南東・北北西」の四方向に整理されました。
なぜ4方向だけなのか
十干は10ありますが、恵方は4方向に循環します。
これは歳徳神の位置が毎年細かく変わるのではなく、吉方として扱う方位が限定されていたためです。
実際の暦では「その方角の何度」という精密な角度指定もありますが、民間信仰では四区分に単純化されました。
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恵方と節分行事の関係
現在広く知られる「恵方巻き」は、恵方の方向に向かって食べることで福を取り込むという民間信仰と結びついた習慣です。ただし、もともとの恵方は年の吉方位を示す思想であり、食文化とは直接関係していませんでした。
節分は立春の前日にあたり、季節の変わり目に邪気を払う行事です。ここに吉方位の考えが加わり、現在の形になったと考えられます。
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まとめ
恵方とは、歳徳神のいる吉方位であり、陰陽道の方位思想に由来します。方角は十干によって決まり、東北東・西南西・南南東・北北西のいずれかになります。節分行事との結びつきは後世の発展ですが、根底には日本古来の方位観があります。






