憲法記念日はなぜ5月3日なのか、由来や意味をわかりやすく解説

毎年5月3日は「憲法記念日」として国民の祝日に定められていますが、なぜこの日が選ばれたのかをご存じでしょうか。

日本国憲法が施行された日であることはよく知られていますが、その背景には日本の近代史における大きな転換点が隠されています。本記事では、憲法記念日の制定に至るまでの歴史や日本国憲法の意義、さらには「建国記念の日」や「文化の日」との違いについても詳しく解説し、憲法記念日が持つ本当の意味を掘り下げていきます。

憲法記念日の由来は「日本国憲法の施行日」

憲法記念日が5月3日である最大の理由は、この日が「日本国憲法の施行日」だからです。

日本国憲法は、第二次世界大戦後の日本の新しい体制を築くために制定された憲法であり、1946年(昭和21年)11月3日に公布され、翌1947年5月3日に施行されました。

この日付は単なる法的な発効日ではなく、戦後日本が新たな民主国家として歩み出した象徴的な日であることから、1952年に制定された祝日法において「憲法記念日」として正式に国民の祝日に指定されました。

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日本国憲法施行の歴史的経緯

明治時代の日本には、明治天皇によって1889年に発布された「大日本帝国憲法」が存在していました。しかし、これは天皇主権を前提とした統治体制を基盤にしており、国民の自由や人権は制限されることが多かったとされています。

1945年の敗戦後、日本は連合国軍総司令部(GHQ)の占領下に置かれ、政治制度の民主化が急務となりました。GHQと日本政府の協議を経て、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を三本柱とする新しい憲法が草案化され、1946年11月3日に公布、翌1947年5月3日に施行されたのです。

以下の表は、旧憲法(大日本帝国憲法)と新憲法(日本国憲法)の違いを簡単にまとめたものです。

比較項目 大日本帝国憲法(1889年) 日本国憲法(1947年)
主権の所在 天皇主権 国民主権
基本的人権 法律の範囲内で制限されうる 保障される不可侵の権利
戦争の扱い 国家の権利として認められる 戦争放棄(第9条)
政府の責任体制 天皇に対する責任 国会に対する責任(議院内閣制)

このような大転換の結果、新憲法の施行日は単なる制度変更ではなく、国のあり方そのものが変わった日として記憶されています。

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憲法記念日の意義と国民の意識

憲法記念日は、「日本国憲法の施行を記念し、国の成り立ちを考える日」として祝日法に定義されています。これは、憲法の理念に立ち返り、民主主義や人権、平和といった価値観の重要性を再確認する機会として位置づけられているのです。

この日は全国各地で記念行事が行われ、国会や地方自治体でも憲法に関する講演会や討論会が開催されます。メディアでも憲法に関する特集が組まれることが多く、国民一人ひとりが憲法について考えるきっかけとなっています。

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建国記念の日・文化の日との違い

5月3日の「憲法記念日」とよく混同される祝日に、「建国記念の日」(2月11日)と「文化の日」(11月3日)がありますが、これらは趣旨も由来も異なる祝日です。

祝日名 日付 意義・趣旨
憲法記念日 5月3日 日本国憲法の施行を記念し、国の成り立ちを考える日
建国記念の日 2月11日 日本の建国をしのび、国を愛する心を養う日(神武天皇即位)
文化の日 11月3日 自由と平和を愛し、文化をすすめる日(日本国憲法の公布日)

特に文化の日は、日本国憲法が公布された日でもあり、憲法と関わりの深い祝日ですが、あくまで「公布日」であって「施行日」ではありません。したがって、憲法記念日は憲法が実際に効力を持ち始めた、歴史的に実務的にも重要な日であるという意味合いを持ちます

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おわりに

憲法記念日が5月3日である理由は、日本国憲法が正式に施行された日であり、それが日本という国家の形を大きく転換させた日であるからです。戦後の混乱を経て、新たな国の在り方を模索した末に生まれたこの憲法は、今もなお私たちの社会の根幹を支える大切な存在です。

この日には、ただ祝日として過ごすのではなく、日本という国がどのようにして今の姿になったのか、そしてこれからどのような価値観のもとで生きていくべきかを、一人ひとりが考えるきっかけにしたいものです。