
松の内は、門松やしめ飾りを掲げて年神さまをお迎えし、家を清めて保つ新年の結界の期間です。日本では地域により日取りが異なり、関東は一月七日、関西は十五日までとする傾向が見られます。
この記事では、松の内の由来と歴史、期間の地域差、飾り始めと片付けの作法を整理し、松の内にしてはいけないことと、初詣や年始挨拶、七草や鏡開き、どんど焼きといった「すべきこと」を神道的視点から丁寧に解説します。玄関や神棚の整え方、実務の目安も示し、一年を安寧に始めるための要点をわかりやすくご案内します。
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松の内とは何か 年神さまをお迎えする期間の意味
松の内は、門松やしめ飾りを掲げて年神さまをお迎えし、家内を聖域として保つ新年の期間を指します。正月の飾りを据え、歳旦祭や初詣をはじめ、年始回りや年賀状のやり取りなど、新年の挨拶と祈りを整える時期です。松は常緑で寒中にも色を失わないことから、長寿と不変の象徴として古来敬われ、門松は年神さまの依代と標識の役目を果たします。したがって松の内は単なる暦上の区切りではなく、神を迎え、日常へと橋渡しをする「結界の時間」といえます。
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歴史的背景 事始めから小正月へ続く正月の骨格
中世には十二月十三日の「事始め」から年迎えの支度が始まり、正月元日に年神さまをお迎えする作法が整いました。近世の都市では年始回りや歳徳神の方位を重んじ、門松・注連・鏡餅を家々に備える習わしが広まりました。近代の改暦によって正月は新暦の一月一日に移りましたが、松の内という観念はそのまま引き継がれ、七日または十五日で区切る地域差を残しつつ、鏡開きやどんど焼きといった行事と結びついて現在まで続いています。
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松の内はいつからいつまでか 地域差と実務の目安
松の内の期間は全国一律ではありません。関東は七日まで、関西は十五日までとする傾向が強く、雪国では二十日正月を区切りとする地域も見られます。飾り始めは年末の二十八日までが望ましいとされ、三十一日の一夜飾りは避けるのが通例です。
| 地域・慣習 | 飾り始めの目安 | 松の内の期間 | 片付けの目安 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 関東一円 | 12月13日以降、28日までが上作法 | 1月1日〜1月7日 | 1月7日朝〜日中 | 七草で区切りをつける家が多いです。 |
| 近畿・西日本の一部 | 12月13日以降、28日までが上作法 | 1月1日〜1月15日 | 1月15日前後 | 小正月で締める地域が根強いです。 |
| 北陸・東北の一部 | 12月中旬以降 | 1月1日〜1月15日または20日 | 1月15日または20日 | 雪国ではどんど焼きが遅めの例があります。 |
最終的には氏神の神社や町内会が示す日取りに合わせるのがいちばん丁寧です。
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松の内にしてはいけないこと 結界を乱さない配慮
松の内は、神さまをお迎えしている最中という意識が大切です。
三十一日の一夜飾りは粗略とされ、二十九日は語呂を嫌う家もあるため避けるのが無難です。
掃除は年末に徹底し、松の内は大きく埃を立てる片付けを控える家もあります。
酒宴や騒擾で飾りを汚すこと、門松やしめ飾りを途中で外して用足しに流用することは作法に合いません。
鏡餅は刃物で「切る」と言わず、刃を当てない「開く」所作を守ります。
こうした慎みは、神前と日常を分ける結界意識の表れです。
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松の内にすべきこと 祈りと挨拶を整える
松の内は、初詣や歳旦祭への参列、神棚の御神酒・洗米・塩・水の供え替えを丁寧に行うのが基本です。
年始回りや年賀状の挨拶はこの期間に済ませ、家族でおせちや雑煮を分かち合って新年の願いを言葉にします。
七日には七草粥で胃腸を休め、関西では十五日頃まで静かな年中行事を続けます。
商家や事業所では、初荷や仕事始めの挨拶、恵方や歳徳神の方角に配慮したしつらえを行い、日常の営みに新年の清新を取り込みます。
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関連行事との関係 鏡開き・小正月・どんど焼き
松の内が明けると、関東では十一日の鏡開き、関西では十五日や二十日に割り当てられる場合が多く見られます。鏡餅は包丁を用いず手や木槌で開き、雑煮やおしるこにしていただきます。十五日の小正月には小豆粥や左義長(どんど焼き)を行い、門松やしめ飾りを神社で焚き上げて清め、役目を終えた飾りを感謝とともにお返しします。これらの流れは、年神さまを迎える結界の時間を穏やかに解き、日常へと戻る日本古来の知恵です。
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実務上の整え方 玄関・神棚・台所の目安
玄関では門松やしめ飾りを軸線が通る位置に掲げ、清潔を保ちます。神棚は年末に掃き清め、松の内は穢れを招かないよう整えます。台所ではおせちを計画的に使い切り、七草粥で一区切りを付けるとよいでしょう。飾りを片付ける際は天然素材と金属・樹脂を分け、神社のどんど焼きに持参できない場合は塩で清め、半紙に包んで感謝の言葉を添えて処分します。
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まとめ 松の内は「祈りの時間」を暮らしに宿す
松の内は、年神さまを迎えた家を聖域として保つ期間であり、新しい一年の心構えを整えるための時間です。いつからいつまでかは地域差がありますが、氏神と地域の歳時に従って整えることが最も丁寧です。してはいけないことを慎み、すべきことを静かに重ねることで、玄関も神棚も清らかに保たれ、祈りの時間が暮らしの芯に宿ります。その積み重ねが、一年の安寧と実りへゆるやかにつながっていきます。









