国民の祝日「春分の日」春彼岸の中日、3月20日か21日の意味とやること

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3月になると、カレンダーに赤く記された「春分の日」が目に入ります。学校や会社が休みになるこの日、多くの人が「お彼岸だからお墓参りに行く日」として認識しています。
しかし春分の日が持つ意味は、それだけではありません。なぜ毎年3月20日か21日になるのか、なぜ祝日になったのか、そして今も宮中ではどのような祭りが行われているのか——その背景をたどると、日本人が古くから太陽と祖先、そして神々とどのように向き合ってきたかという、深い文化の層が見えてきます。

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2026年・2027年の春分の日はいつか

春分の日は毎年同じ日付ではなく、年によって3月20日か21日のどちらかになります。直近の日程は以下の通りです。

春分の日 曜日
2025年(令和7年) 3月20日 木曜日
2026年(令和8年) 3月20日 金曜日
2027年(令和9年) 3月21日 日曜日(翌22日が振替休日)
2028年(令和10年) 3月20日 月曜日
2029年(令和11年) 3月20日 火曜日
2030年(令和12年) 3月20日 水曜日

なお、正式な日付は国立天文台の計算をもとに、前年2月1日に官報の「暦要項(れきようこう)」として発表されることで確定します。つまり、2026年の春分の日は2025年2月1日に正式決定されたものです。

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なぜ春分の日の日付は毎年変わるのか

春分の日が毎年同じ日にならない理由は、地球の公転周期にあります。
地球が太陽の周りを一周するのにかかる時間は、きっかり365日ではなく、約365.24219日(365日と5時間48分46秒)です。カレンダーの1年と実際の公転周期の間に毎年約6時間のずれが生じるため、春分点を地球が通過する日時も年ごとに少しずつ動きます。
4年に一度のうるう年(2月29日を追加する年)でこのずれを補正しているため、春分の日はおおむね3月20日か21日の範囲に収まっています。
天文学的に正確にいえば、春分とは「太陽が黄道と天の赤道の交点(春分点)を通過する瞬間」を指します。その瞬間を含む日が「春分日」となり、それが「春分の日」として祝日に定められています。

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春分の日が祝日になった本当の理由——春季皇霊祭

「春分の日」は1948年(昭和23年)に国民の祝日として制定されました。祝日法では「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」と定められています。
しかしこの日が祝日とされた歴史的背景には、「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」という宮中祭祀があります。
春季皇霊祭とは、春分の日に天皇が宮中三殿のひとつ「皇霊殿(こうれいでん)」において、神武天皇をはじめとする歴代天皇・皇后・皇族すべての御霊をお祀りする大祭です。1878年(明治11年)に始まり、それまで命日ごとに個別に行われていた皇祖の祭祀を春と秋の二季にまとめた形で執り行われるようになりました。

春分・秋分の日にこの祭日が設けられたのは、もともとこの両日を中心に「彼岸会」と称される仏事が行われており、一般的にも「お彼岸」として祖先供養の日とされていたからでした。
戦後、GHQの方針のもと宗教色を廃する形で「春季皇霊祭」は「春分の日」と改称され、国民の祝日となりました。しかし今でも宮中では春季皇霊祭が行われ、神武天皇をはじめ歴代天皇・皇族の御霊がおまつりされています。

また春分の日には、皇霊祭と同日に「春季神殿祭(しゅんきしんでんさい)」も執り行われます。神殿祭とは、天皇自ら宮中三殿のひとつ「神殿」において、天神地祇(天地の神々)、八百万の神々を祀る祭祀です。祝日法の「自然をたたえ、生物をいつくしむ」という言葉は、この神殿祭の趣旨を受け継いだものとも言えます。
春分の日が単なる「お休み」ではなく、天皇が自ら祖先と神々に向き合う日として、古代から続く祭祀の上に成り立っていることを知ると、この日の持つ重みが変わって見えるはずです。

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「彼岸」とは何か——仏教と日本独自の信仰が交わる場所

春分の日は「春彼岸の中日」でもあります。お彼岸とは何か、改めて確認しておきましょう。

「彼岸(ひがん)」という言葉は、サンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜多)」に由来する仏教用語で、「向こう岸に渡る」という意味を持ちます。私たちが生きるこの世(此岸・しがん)に対して、悟りの境地・極楽浄土の世界を「彼岸」と呼びます。
浄土思想では、極楽浄土は西の方角の遥か彼方にあるとされています。春分・秋分の日は太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。太陽が真西に沈むこの二つの日は、古くから「この世と極楽浄土が最もつながりやすい日」といわれていました。

彼岸の行事は他国にはなく、日本在来の太陽信仰と祖先崇拝が、浄土思想と結びついて生じた日本独自のものです。
仏教が日本に伝来するよりも前から、日本人は春分・秋分の頃に太陽を拝み、祖先に思いを馳せる信仰を持っていました。そこに仏教の「彼岸」という概念が重なり、現在のお彼岸という行事が生まれました。

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日本最古の彼岸会——早良親王の怨霊を鎮めた祈りから

日本でお彼岸が行事として記録されるのは、平安時代初期のことです。

日本最古のお彼岸は、平安時代初期に行われた、無実の罪を訴えて死去した早良親王(さわらしんのう)の怨霊を鎮めるための祈りの行事だとされています。平安時代に編纂された「日本後紀」では、延暦二十五年(806年)、春分と秋分を中心とした前後7日間にわたり、早良親王のために全国の国分寺で読経が行われたとの記載があります。

これが後に「彼岸会(ひがんえ)」という形で春・秋の年中行事として定着し、江戸時代には庶民の間にも広く浸透していきました。お彼岸にお墓参りをする習慣が根付いたのも、この長い歴史の積み重ねの上にあります。

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2026年の春彼岸の日程

春彼岸は、春分の日を中日(ちゅうにち)として、前後3日を合わせた7日間です。

2026年(令和8年)の春彼岸

  • 彼岸入り:3月17日(火)
  • 中日(春分の日):3月20日(金・祝)
  • 彼岸明け:3月23日(月)

彼岸の期間中であればいつお墓参りに行っても問題ありませんが、あの世との距離が最も近づく日であることから、ベストなお参り日はお彼岸の中日(春分の日)とされています。

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春分の日・春彼岸にすること

春分の日前後にどのように過ごすか、代表的な習わしを整理します。

お墓参り・先祖供養

春彼岸の最も大切な行事です。お彼岸の期間中にやるべきことの中心は、ご先祖様への供養です。具体的には、お墓参りをしてお墓をきれいに掃除し、お花やお供え物をすること、そして自宅のお仏壇を清めて同様にお供えをすることが挙げられます。
お墓参りの手順は以下の通りです。

  • 周辺の雑草・落ち葉を取り除く
  • 墓石を水で丁寧に洗う
  • 香炉・花立て・水鉢などを清める
  • 花・線香・お供え物を整える
  • 合掌して先祖への感謝と祈りを捧げる

ぼたもちをお供えする

春彼岸のお供えといえば「ぼたもち(牡丹餅)」です。春のお彼岸には「牡丹餅」を、秋のお彼岸には「おはぎ」をお供えする習慣があります。「牡丹餅」は大きな牡丹の花が咲く春彼岸の頃に、小豆のこしあんでくるんだ餅を牡丹に見立てたものです。
形と名前は季節によって変わりますが、秋の「おはぎ」と本質的には同じものです。小豆の赤色には邪気を払う力があるとされ、古くから神事・仏事に用いられてきました。

神社への参拝——社日(しゃにち)

あまり知られていませんが、お彼岸の時期には「社日(しゃにち)」という神道の行事もあります。
お彼岸に最も近い戊(つちのえ)の日は、社日として氏子が氏神たる神社に参詣し、春は五穀豊穣を祈り、秋は実りある収穫に感謝する習わしがあります。
春分の日前後に氏神神社を訪れ、土地の神様に豊作と健康を祈るのは、農耕民族として長く生きてきた日本人の根本的な信仰の姿です。お墓参りと合わせて、神社への参拝も春分の日の大切な過ごし方の一つです。

自然の中に出る

「自然をたたえ、生物をいつくしむ」という祝日の意味に沿った過ごし方として、春の自然を感じる一日を過ごすことも本来の精神に合っています。この時期、桜の開花が近づき、野の草花が芽吹き、虫や鳥の声が戻ってきます。自然の中に足を運び、命の息吹を感じることは、春分の日が持つ本来の意味と深く重なります。

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春分の日と秋分の日の違い

同じように昼と夜の長さが等しくなる春分と秋分ですが、祝日法での意味づけが異なります。

  • 春分の日:「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」
  • 秋分の日:「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」

春は新たな命が芽吹く季節として自然や生命を称え、秋は実りの季節として祖先への感謝を深める——この使い分けは、日本人の季節感と信仰の感覚が凝縮されています。
宮中での祭祀も同様です。春季皇霊祭と秋季皇霊祭はともに祖先をお祀りする大祭ですが、春季神殿祭では神々への感謝と国民の平安を祈り、自然の恵みへの畏敬が表れています。

「暑さ寒さも彼岸まで」の意味

春彼岸・秋彼岸を語る時に欠かせないのが、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉です。

冬の寒さは春彼岸の頃まで続き、夏の暑さは秋彼岸の頃まで続く——季節の変わり目を表す言葉として、古くから日本人の生活感覚に根付いています。
春分の日は、冬の終わりを告げ、昼が夜よりも長くなり始める境目の日でもあります。太陽が力を取り戻し、大地が再び温かみを帯びていく。その転換点に、祖先の霊と向き合い、神々に感謝する日が重なっていることは、日本人の信仰の深さを感じさせます。

まとめ

  • 春分の日は毎年3月20日か21日。地球の公転周期のずれにより日付が変わり、前年2月に国立天文台の計算をもとに正式決定される
  • 2026年の春分の日は3月20日(金)。春彼岸は3月17日〜3月23日
  • 春分の日の祝日の起源は「春季皇霊祭」——天皇が宮中の皇霊殿で歴代天皇・皇族の御霊をお祀りする大祭。今も宮中では変わらず行われている
  • 同日には「春季神殿祭」も行われ、天地の神々・八百万の神への感謝と国民の平安が祈られる
  • お彼岸は日本独自の行事。日本在来の太陽信仰と祖先崇拝が、仏教の「彼岸」思想と結びついて生まれた
  • 春彼岸にすること:お墓参り・先祖供養、ぼたもちのお供え、社日の神社参拝、自然の中に出ること
  • 「暑さ寒さも彼岸まで」——春分の日は冬から春への転換点であり、自然・先祖・神々と向き合う日

カレンダーの赤い文字が示す「春分の日」には、天文学、神道の宮中祭祀、仏教の彼岸思想、そして日本人が長く積み重ねてきた自然への畏敬と祖先への感謝が、静かに重なっています。

 

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