易経とは?64卦の意味・解釈を一覧表でわかりやすく解説

易経(えききょう)は、古代中国の哲学書であり、宇宙の秩序や変化を象徴する六十四卦を通じて人生や自然の原理を解き明かす書物です。それぞれの卦は陰陽の組み合わせから成り、特定の状況や未来の兆しを示します。本記事では、六十四卦の意味や解釈を一覧表でわかりやすく紹介し、易経の基本的な思想や現代での活用方法についても解説します。易経の知恵を通じて、物事を深く洞察する力を身につけましょう。

易経とは?

太極図と易

易経(えききょう)は、古代中国の哲学書で、宇宙の秩序や自然の変化を象徴的に表現した思想体系です。紀元前11世紀頃に成立したとされ、「六十四卦」と呼ばれる64種類の象徴を通じて、人生や自然界のあらゆる状況を読み解きます。

易経は、陰陽の組み合わせによる「卦(け)」を中心に、物事の変化やその兆しを探るための指針を示しています。現代では占いや哲学としても活用され、変化する時代を生きるヒントを与えてくれます。

六十四卦とは?

六十四卦は、8つの基本卦(八卦)を上下に組み合わせることで構成されています。各卦は6本の線(爻(こう))で表され、以下のように分かれます。

  • 陽爻(—):積極性、明るさ、動的。
  • 陰爻(--):受容性、暗さ、静的。

六十四卦はそれぞれ異なる意味を持ち、特定の状況や未来の兆しを表します。

八卦とは?

八卦(はっけ)は、陰陽道や風水、占いで用いられる基本的な概念で、宇宙のあらゆる現象や事象を8つの象徴で表現したものです。

八卦の8つの意味と象徴

八卦の生成図

八卦 象徴 意味・特徴
創造、発展、力強さ、陽性が最も強い状態。 天候、リーダーシップ
包容力、受容、育成、陰性が最も強い状態。 大地、母性、安定
活動、新しい始まり、驚き。 春の芽吹き、エネルギー
柔軟性、広がり、影響力。 風通し、コミュニケーション
困難、深さ、知恵、感情。 川や湖、心の内面
明るさ、知恵、情熱、エネルギーの集中。 太陽、光明、直感
静止、沈黙、止まること、内省。 山、瞑想、休息
喜び、楽しみ、和らぎ。 湖、リラクゼーション

八卦(はっけ)についての詳細はこちらから

六十四卦の卦名(読み)、上卦下卦、意味・解釈の一覧表

易の六十四卦一覧表

以下は、八卦を組み合わせた六十四卦を示した表です。

八卦を組み合わせて構成される六十四卦を、上卦と下卦の組み合わせごとに表にまとめます。六十四卦は、八卦のそれぞれが上下に重ねられることで生じます。

卦番号 卦名(読み) 上卦 下卦 意味
1 乾為天(けんいてん) 創造、発展、力強さ。
2 坤為地(こんいち) 包容力、受容、安定。
3 水雷屯(すいらいちゅん) 困難な始まり、忍耐が必要。
4 山水蒙(さんすいもう) 未熟さ、学び、成長への努力。
5 水天需(すいてんじゅ) 待つこと、忍耐、適切な時機を待つ。
6 天水訟(てんすいしょう) 議論、争い、解決への努力。
7 地水師(ちすいし) 集団行動、計画的な進行。
8 水地比(すいちひ) 協力、友情、親和。
9 風天小畜(ふうてんしょうちく) 小さな障害、慎重な行動。
10 天沢履(てんたくり) 礼儀、道徳、慎重な態度。
11 地天泰(ちてんたい) 調和、平和、安定した時期。
12 天地否(てんちひ) 停滞、不調、閉ざされた状態。
13 天火同人(てんかどうじん) 協力、共有、調和的な活動。
14 火天大有(かてんたいゆう) 豊かさ、成功、大きな成果。
15 地山謙(ちざんけん) 謙虚さ、慎重、控えめな態度。
16 雷地予(らいちよ) 喜び、期待、準備。
17 澤雷随(たくらいずい) 柔軟さ、従順、流れに従う。
18 山風蠱(さんぷうこ) 腐敗、不調の修復、改善の努力。
19 地沢臨(ちたくりん) 前向き、良い兆し、進展。
20 風地観(ふうちかん) 観察、洞察、慎重な考え。
21 火雷噬嗑(からいぜいごう) 解決のための努力、問題への挑戦。
22 山火賁(さんかひ) 美しさ、装飾、外見への配慮。
23 山地剥(さんちはく) 衰退、崩壊、修復の必要性。
24 地雷復(ちらいふく) 再生、復活、新たな始まり。
25 天雷無妄(てんらいむぼう) 誠実、純粋な行動、計画外の困難。
26 山天大畜(さんてんたいちく) 蓄積、準備、適切な時期を待つ。
27 山雷頤(さんらいい) 養うこと、自分を整える必要性。
28 澤風大過(たくふうたいか) 限界を超える、過度の負担、慎重な行動。
29 坎為水(かんいすい) 困難、危険、試練の中での知恵。
30 離為火(りいか) 光明、知恵、エネルギーの集中。
31 澤山咸(たくざんかん) 感応、心のつながり、共鳴。
32 雷風恒(らいふうこう) 恒久、安定した努力、持続的な成長。
33 天山遯(てんざんとん) 退却、撤退、戦略的な引き際。
34 雷天大壮(らいてんたいそう) 力強さ、積極的な行動、大胆さ。
35 火地晋(かちしん) 前進、発展、成功への道。
36 地火明夷(ちかめいい) 闇の中の知恵、困難な状況での適応。
37 風火家人(ふうかかじん) 家庭、調和、家族の団結。
38 火沢睽(かたくけい) 不一致、対立、異なる意見の尊重。
39 水山蹇(すいざんけん) 障害、遅れ、慎重な行動。
40 雷水解(らいすいかい) 困難の解消、前進、解決の兆し。
41 山沢損(さんたくそん) 節約、減少、重要な選択。
42 風雷益(ふうらいえき) 増加、恩恵、利益を受け取る。
43 澤天夬(たくてんかい) 決断、はっきりした行動、突破。
44 天風姤(てんぷうこう) 偶然の出会い、不安定な状況。
45 澤地萃(たくちすい) 集まり、共同、団結の力。
46 地風升(ちふうしょう) 上昇、進展、少しずつの努力が成果を生む。
47 澤水困(たくすいこん) 困難、閉塞感、忍耐の必要性。
48 水風井(すいふうせい) 資源の活用、変化への適応。
49 沢火革(たくかかく) 革新、変化、新しい始まり。
50 火風鼎(かふうてい) 調和、準備、基盤の強化。
51 雷為震(らいいしん) 衝撃、驚き、新しい始まり。
52 山為艮(さんいごん) 静止、内省、自己制御。
53 風山漸(ふうざんぜん) 少しずつの進展、慎重な行動。
54 雷沢帰妹(らいたくきまい) 不釣り合いな状況、調整が必要。
55 雷火豊(らいかほう) 豊かさ、成功、充実した時期。
56 火山旅(かざんりょ) 旅、移動、一時的な状況。
57 巽為風(そんいふう) 柔軟性、持続性、広がり。
58 兌為沢(だいたく) 喜び、楽しみ、調和。
59 風水渙(ふうすいかん) 分散、柔軟な適応、解放。
60 水沢節(すいたくせつ) 制限、規律、バランスの調整。
61 風沢中孚(ふうたくちゅうふ) 誠実、信頼、忠実。
62 雷山小過(らいざんしょうか) 小さな失敗、慎重な対応が必要。
63 水火既済(すいかきせい) 物事が完成、全てが整った状態。
64 火水未済(かすいびせい) 未完成、さらなる努力が必要。

六十四卦をもっとわかりやすく

六十四卦は、それぞれが状況を象徴し、その対処法や未来への指針を示します。以下は、主要な卦をテーマ別に分類してわかりやすく解説します。

1. 順調・発展を表す卦
  • 乾為天(けんいてん):物事が順調に進む兆し。積極的に動くべき時。
  • 地風升(ちふうしょう):小さな努力が大きな成果を生む。
2. 困難・忍耐を表す卦
  • 水雷屯(すいらいちゅん):始まりの困難。忍耐強く取り組むことが鍵。
  • 坎為水(かんいすい):危機的状況だが、冷静さを保てば乗り越えられる。
3. 協力・調和を表す卦
  • 水地比(すいちひ):人との協力や信頼関係を築くべき時。
  • 風火家人(ふうかかじん):家庭や組織内の調和を大切にする。
4. 変化・柔軟性を表す卦
  • 火雷噬嗑(からいぜいごう):解決には大胆な行動が必要。
  • 風雷益(ふうらいえき):変化を受け入れることで利益を得る。

易経の使い方

六十四卦は、占いや自己分析に活用できます。ここではわかりやすくするためにかなりシンプルに六十四卦を用いた易経占いを紹介します。

易経占いの手順

  1. 質問を明確にする。
  2. コインやサイコロを使って卦を出す。
  3. 出た卦を易経の意味に照らし合わせて解釈する。

易経の具体例

質問:「転職すべきか?」
出た卦:水雷屯(すいらいちゅん)
解釈:転職は困難を伴うが、新たな挑戦が自分を成長させる兆し。

六十四卦と現代の活用

六十四卦の教えは、現代の生活やビジネスにも応用できます。

例えば、ビジネスでプロジェクトの開始時に「乾為天」などの卦を参考にすることや、人間関係で「水地比」や「風火家人」を基に調和を重視した行動を取ること、自己分析として現在の状況を振り返り、改善のヒントを得ることなど、六十四卦によりすべてが解決するというものではありませんが、迷ったときに、どんな状況でどんな変化、流れにするとよさそうかを知るための手掛かりになることは確かです。

おわりに

易経の六十四卦は、単なる占いにとどまらず、自然や人生の変化を深く洞察するための哲学です。それぞれの卦が持つ意味を理解することで、自分自身や周囲の状況をより良く把握し、変化に対応する力を養うことができます。易経の教えを日常に取り入れ、より豊かな人生を築いていきましょう。