「トイレの神様」という歌は、シンガーソングライターの植村花菜によって作詞・作曲され、2010年に発表されました。この歌は、植村花菜自身の実体験を基にした心温まる物語を描いており、特におばあちゃんとの思い出が深く描かれています。歌詞の中で語られる「トイレの神様」は、日本の古くからの信仰とも関連しており、多くのリスナーに感動を与えました。この記事では、「トイレの神様」が実話に基づいているかどうか、そして歌詞から読み取れる神様の存在について考察します。
トイレの神様とは?
「トイレの神様」という歌は、植村花菜の自伝的な要素を含んだ楽曲です。歌詞の中では、主人公である植村花菜が幼少期におばあちゃんから「トイレには美しい神様がいるから、きれいに掃除すると美しくなれる」と教えられたエピソードが語られます。この教えは、トイレをきれいにすることの重要性を説くと同時に、美しさと清潔さの関係を示唆しています。
トイレの神様の実話性
この歌が実話に基づいているかどうかについては、植村花菜自身がインタビューで語っています。彼女は、幼少期におばあちゃんと過ごした時間が非常に重要であり、その中でトイレの掃除を通じて多くの教えを受けたことを明かしています。このため、歌詞に描かれるエピソードは実話に基づいていると考えられます。
歌詞から考えるトイレの神様
歌詞の中で、おばあちゃんが語る「トイレの神様」は、日本の民間信仰における「厠神(かわやのかみ)」と関連している可能性があります。厠神は、トイレを守る神様として信仰されており、トイレをきれいに保つことで家の中が清潔になり、福が訪れるとされています。この信仰は、日本各地で古くから伝わっており、現代でもトイレをきれいに保つ習慣として受け継がれています。
トイレの神様(女神様)はどの神様なのか?
厠神様の他にも、トイレの神様として信仰される女神様はおります。
水波能売神(みずはのめのかみ)
一柱目は『水波能売神(みずはのめのかみ)』で、水の神として知られています。水波能売神は、井戸神としても信仰され、乙女の姿をしているとも考えられています。水はすべての生命にとって欠かせないものであり、そこから『母神』信仰が生まれ、古くから子授けや安産の神様としても信仰されています。
埴山姫神(まにやまひめのかみ)
もう一柱は、『埴山姫神(まにやまひめのかみ)』です。名前に含まれる「埴(はに)」が示すように、赤土の粘土を意味し、陶器の神様であり、農耕に関わる土の女神ともされています。
この二柱の女神様の誕生には、共に母神である『伊邪那美命(いざなみのみこと)』の伝説が深く関わっています。伊邪那美命は、陰部を火傷し、それが原因で亡くなる直前に尿と糞を漏らし、それが元で水波能売神と埴山姫神が生まれたとされています。このため、民間信仰においては、これらの女神様が「便所神」として崇められてきました。
烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)
さらに、神仏習合の影響で、便所の神様として『烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)』も信仰されています。烏枢沙摩明王は、天台宗の密教における五大明王の一尊で、本来は火の神様ですが、不浄を清浄にする力があるとされ、不浄の場所である便所の神様としても崇敬されています。
このように、トイレの神様には神道系と仏教系の神様が存在し、どちらも私たちの日常生活において大切な存在として信仰されています。特にトイレという場所は、家庭内でもっとも不浄とされる場所であるため、常にきれいに保つことで神様からのお恵みがあると信じられています。
トイレの神様の歌詞の一部から読み取れる教訓
歌詞の一部には、「トイレには美しい神様がいるから、きれいに掃除すると美しくなれる」との教えが含まれています。この教えは、単なる掃除の習慣を越え、自己管理や他者への思いやりを育むメッセージを含んでいます。トイレを掃除することで、物理的な清潔さだけでなく、心の清らかさも保たれるという教訓が込められています。
実際の信仰と現代の解釈
「トイレの神様」の歌詞に描かれる信仰は、日本の伝統的な民間信仰と共通する要素を持ちながらも、現代の価値観に合わせて解釈されています。トイレをきれいにすることは、家庭の幸福や繁栄を願う象徴的な行為として受け入れられており、現代の家庭でも実践されています。
まとめ
「トイレの神様」は、植村花菜の実体験に基づいた感動的な歌であり、彼女のおばあちゃんから受けた教えが根底にあります。実際に、植村さんのおばあちゃんがどの神様を信仰していたかはわかりませんし、私たち日本人は、すべての神様に対してあまり優劣をつけたりせずに、すべて神様として身近にある神聖な存在としているので、どの神様であったかを特定することには強い意味はないと考えます。
歌詞に描かれる「トイレの神様」は、日本の伝統的な民間信仰とも関連しており、トイレをきれいに保つことの重要性を説いています。神道では、穢れのない神聖な場所が好ましく、そのような場所にこそ良い気が満ちて神が宿るという考え方があります。この歌は、現代のリスナーにとっても、清潔さや心の美しさの重要性を再認識させるメッセージを持っています。
このように、「トイレの神様」は実話に基づいており、歌詞を通じて日本の伝統的な信仰と現代の価値観を結びつける重要な役割を果たしています。