厄除けとは?いつまでに行く?行かない方がいい場合はある?

厄除け(やくよけ) とは、厄年に訪れるとされる災厄を避けるために、神社でお祓いを受ける神事です。厄年は人生の節目にあたり、体調の変化や環境の変動が起こりやすい時期とされています。そのため、多くの人が厄除けを受けて心身を清め、運気を整えようと考えます。

しかし、「厄除けはいつまでに行けばいいの?」「厄除けに行かないとどうなる?」「神社と厄除け大師(仏教寺院)では何が違う?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

本記事では、厄除けの正しい時期や厄年の歴史、神社と仏教寺院での違い、厄除けに行かない方がいい場合の考え方 について詳しく解説します。厄除けを受けるか迷っている方や、どこで祈願すればよいか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

厄除けとは?

厄除け(やくよけ) とは、神道における 「厄年」 に訪れるとされる災厄を避けるために、神社でお祓いを受けることです。日本には古来より特定の年齢に大きな災厄が訪れやすいという考えがあり、厄年にあたる人は神社で 厄除け祈願 を行う習慣があります。

厄年にあたると、体調を崩しやすい、事故やトラブルに巻き込まれやすい、環境の変化が起こりやすい などと考えられています。そのため、神様の力をお借りして厄除けを受けることで穢れを祓い、清らかな状態に戻し、運気を安定させることを目的としています。

厄年の歴史 〜どのように定められたのか〜

厄年(やくどし) の概念は、古代日本に中国や仏教の思想が伝わる中で形成されました。日本では、平安時代にはすでに「特定の年齢に災厄が訪れやすい」という考えが存在していました。

厄年の起源には、以下のような要因が関係していると考えられています。

陰陽道の影響

陰陽道(おんみょうどう)は、古代中国の陰陽五行思想に基づく占術で、日本の貴族社会に大きな影響を与えました。この考えでは、特定の年齢や方角に運気の変動があり、「厄を避ける」ための儀式が必要とされました。

日本の通過儀礼との融合

古代日本では、人生の転機となる年齢(元服・婚礼・出産など)に、神に祈願し、穢れを祓う風習がありました。特に、体力の衰えや社会的立場の変化が生じやすい年齢(男性42歳、女性33歳など)が「厄年」として定着しました。

仏教の「厄払い」の影響

仏教が日本に伝来すると、厄年の考え方と結びつきました。特に、平安時代以降、厄除けの祈願を行う「厄除大師(やくよけたいし)」が全国の寺社で広まり、寺社での厄除け祈願が盛んになりました。

江戸時代には、厄年の概念が庶民にも浸透し、多くの人が神社や寺院で厄除けを行うようになりました。現代では、神社での厄除け祈願が一般的となり、特に 年始や節分に厄払いをする 風習が根付いています。

厄年とは?誰がいつ厄除けをするべき?

厄年は、一般的に 数え年 で計算され、男性と女性で異なります。

性別 前厄 本厄 後厄
男性 24歳 25歳 26歳
男性 41歳 42歳(大厄) 43歳
男性 60歳 61歳 62歳
女性 18歳 19歳 20歳
女性 32歳 33歳(大厄) 34歳
女性 36歳 37歳 38歳

特に 「大厄(たいやく)」 にあたる 男性42歳、女性33歳 は 人生の転換期 とされ、最も注意すべき年齢と考えられています。

厄除けはいつまでに行く?おすすめの時期

厄除けに最適な時期は「年始〜節分」

一般的に、厄除けは 1月〜2月の節分までに行う のが良いとされています。

時期 理由
1月 年が明け、新年の清らかな気で厄を祓う
2月(節分) 節分は「季節の変わり目」であり、厄を追い払うのに最適

ただし、必ずしも年始の間に受けなくてはならないというものではなく、「もしかしたら厄年の影響でいろいろうまくいかないことがあるのかも…」と思うことがあったときに神様や仏様の力をお借りして厄除けするというのも問題ありません。

厄年の前に受ける「前厄除け」もおすすめ

厄年に入る 前年に厄除けを行う「前厄除け」 を受けることで、厄年の影響を軽減すると考えられています。

また、本厄だけでなく後厄にも厄除けを行うのが望ましいとされるため、3年間継続してお祓いを受ける人もいます。

神社とお寺での厄除けの違い

厄除けは、神社だけでなく仏教寺院や「厄除け大師」でも受けることができますが、それぞれの考え方や効果が異なります。

項目 神社(神道) お寺(仏教)
目的 穢れを祓い、清める 因果応報の考えに基づき、悪運を遠ざける
方法 神職が祝詞(のりと)を唱え、お祓いを行う 護摩祈祷や念仏による加持祈祷
代表例 厄除け神社(寒川神社・石清水八幡宮など) 厄除け大師(川崎大師・成田山新勝寺など)
期待される効果 心身を清め、災厄を遠ざける 心を落ち着け、精神的な安心を得る

神社での厄除けは、神道の「穢れを祓う」考え方 に基づいており、気持ちを新たにし、清らかな状態で過ごせるようにする のが目的です。

厄除けに行かない方がいい場合はある?

厄除けの風習は日本で古くから行われてきたもので、まだまだ厄年であることを気にする方は多いです。また、本人が気にしなかったとしても、「厄年だからね」「厄除けは行っておきなさい」と身内から促されることも多いです。一方で厄除けに行かない方が良いというケースもあるので一部紹介します。

信仰的な理由がある場合

厄除けは日本の伝統的な風習ですが、必ずしも全員が受ける必要はありません。宗教的な考え方によっては、厄除けを必要としない場合もあります。

強い不安を感じる場合

「厄除けをしないと不幸になるのでは?」と過度に不安を抱くと、逆にストレスになり、厄年を意識しすぎることでネガティブな思考に陥ることがあります。その場合、無理に厄除けをする必要はなく、普段の生活を見直し、健康に気をつけるだけでも十分 です。

体調が優れない場合

厄除けに行く際は体調が整っている日を選ぶことが大切です。無理に参拝すると、かえって負担になってしまうこともあります。

厄除けすると身内が身代わりになる、違う災厄をもらってしまう

厄年に辛いことがあるというのが当たり前だという考え方もあり、一部の地方では「厄払いには行くな」と決めている場合もあります。
厄年は厄が付いたままで過ごし何かあるのが当たり前で、本人から厄除けで祓った災厄は身代わりに身内にいくという言い伝えもあります。
また、他の厄年の人と一緒に厄除けを受けると、他の人の強い災厄をもらってきてしまうこともあるので行かない方が良いという考え方をしている場合もあります。

厄除けの効果を高めるポイント

厄除けは 神社でお祓いを受けるだけではなく、日々の心がけも重要 です。

清らかな心を保つ

神道では、心の清浄さが大切とされます。感謝の気持ちを忘れず、前向きな生活を心がける ことが、厄を遠ざけるための基本です。

厄除けのお守りを持つ

神社で授与される厄除けのお守りやお札を身につけることで、日常的に厄を避ける効果が期待できます。また、自分にとって力を与えてくれるようなもの、人、環境、自分にとってエネルギーがもらえる相性の良いパワースポットに行くなど、自分自身の在り方を整えていくことも大切です。

生活習慣を整える

厄年は、心身の変化が起こりやすい年齢でもあります。健康管理をしっかり行い、バランスの取れた生活を送る ことが厄を避けるための一番の対策です。

厄年をきっかけに人生の振り返り、将来設計をする

厄年の歴史からして、厄年には身体的にも社会的にも人生の大きな転換点になるときで、ガタっと崩れてしまうことや、がむしゃらに動いてきた人が停滞することなどがよくあった年でした。厄年には体や人間関係など様々な面でバランスを崩しやすい時期です。新しいことを始めたりするのは少し遅らせたり、しっかりとエネルギーをためる期間として過ごすのも良いでしょう。人生の転換点なので、自分の人生を振り返ってみたり、残りの人生でどんなことを成し遂げたいか、どんな風に歩んでいきたいかの人生設計をするのも大切です。

神社での厄除けと厄除け大師の厄除け、どちらが良い?

神社での厄除け と 厄除け大師(仏教寺院)での厄除け は、それぞれ異なる考え方に基づいた厄払いの方法です。どちらが良いかは 信仰や考え方、目的 によって異なります。

選ぶ基準 神社の厄除け 厄除け大師(仏教寺院)
考え方 穢れを祓い、清らかな状態に戻す 悪い運気を断ち切り、仏の加護を得る
方法 祝詞(のりと)による祈願 護摩焚き(火の力)による祈祷
精神的な効果 清々しい気持ちになり、前向きになれる 困難を乗り越える力を得る
おすすめの人 厄を祓い、スッキリしたい人 強い加護を求める人、厄年が気になる人
場所 氏神様の神社や有名な厄除け神社 川崎大師・成田山などの厄除け大師

どちらの厄除けも 「災厄を避ける」 という目的は共通していますが、神道と仏教では考え方が異なります。

  • 清めてスッキリした気持ちで新しいスタートを切りたい人 → 神社の厄除け
  • 困難な状況を乗り越えたい、精神的な支えがほしい人 → 厄除け大師

どちらが良いかは、信仰や気持ちの持ち方次第です。 どちらを選んでも、厄年を前向きに過ごすための大切な儀式になるでしょう。

代表的な厄除け神社

  • 寒川神社(神奈川県) … 八方除け・厄除けで有名
  • 石清水八幡宮(京都府) … 厄除けのご利益で知られる
  • 鹿島神宮(茨城県) … 武道・災厄除けの神を祀る

代表的な厄除け大師

  • 川崎大師(神奈川県) … 日本有数の厄除け大師
  • 成田山新勝寺(千葉県) … 全国から厄除け祈願の参拝者が訪れる
  • 西新井大師(東京都) … 火伏せ・厄除けのご利益がある

まとめ

厄除けは、厄年に訪れるとされる災厄を避けるために、神社でお祓いを受ける神事 です。

  • 厄除けの時期は「年始〜節分」がおすすめ
  • 前厄・本厄・後厄の3年間で厄除けを行う人も多い
  • 神社での厄除けは「穢れを祓い、心身を清める」ことが目的
  • 仏教の厄除けとは考え方が異なる
  • 無理に厄除けをする必要はなく、心の持ち方が大切

厄年は必ずしも「悪い年」ではありません。むしろ 人生の転機となる大切な時期 と考え、前向きに過ごすことが何より重要です。神社での厄除けを通じて、心を整え、良い一年を迎えましょう。