
大綿津見神(おおわたつみのかみ)は、日本神話に登場する「海の神様」として知られ、海原を治め、航海の安全や漁業の繁栄を司る重要な神です。伊弉諾尊の禊から生まれた神としても伝えられ、海と人々の暮らしをつなぐ存在として古来より信仰されてきました。本記事では、大綿津見神の神話での位置づけや名前の意味、ご神徳、全国のゆかりの神社などをわかりやすく解説します。
大綿津見神とは?
大綿津見神(おおわたつみのかみ)は、日本神話に登場する海の神様であり、海原(うなばら)を統べる神として古くから信仰されています。その名に含まれる「わた(綿・海)」は古語で「海」を意味し、「つみ」は「統べる者・主」を表すため、「海を治める偉大なる神」という意味を持つ名前です。
海の民や漁業従事者はもちろんのこと、航海・交通の安全を祈願する神として、全国の海沿いの地域を中心に多くの神社で祀られています。
神話での登場と誕生の背景
古事記や日本書紀によると、大綿津見神は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が亡き妻・伊弉冉尊(いざなみのみこと)を追って黄泉の国から帰還し、穢れを祓うために禊(みそぎ)を行った際に生まれた神とされています。
その際、海水を用いた禊から生まれた神々のうち、大綿津見神は「海の神格そのもの」として顕現しました。
また、日本書紀の一書(異伝)では、伊弉冉命が火の神・軻遇突智神(かぐつちのかみ)を生んだ際、その苦しみの中から生まれた神々の一柱として、大綿津見神の名が挙げられていることもあります。
このように大綿津見神は、日本神話における海の本源的な神として位置づけられているのです。
ご神徳(ご利益)
大綿津見神には以下のような広いご神徳があります。
航海安全・交通安全
海を治める神として、船旅や交通の安全を守護するとされます。
漁業繁栄・海の恵みの加護
漁師や海産物に携わる人々からの厚い信仰を集めています。
水難除け・災難除け
海や川、雨など水に関する災害から身を守る神としても信仰されています。
国土鎮護・国家安泰
古代国家においては、海の守り神として重要視され、国家の安定を祈る神事にも登場します。
大綿津見神を祀る主な神社
志賀海神社(しかうみじんじゃ/福岡県)
福岡県福岡市東区にある志賀海神社は、大綿津見神を主祭神とする最も代表的な神社の一つ。「海神の総本社」とも呼ばれ、古代から海の安全や航海守護を祈る重要な神社として知られています。海人族(あまぞく)の信仰と深い関係を持つ神社でもあります。
綿津見神社(わたつみじんじゃ)
全国各地に「綿津見神社」と名のつく神社が存在し、いずれも大綿津見神を主祭神または配神として祀っています。特に海沿いの地域では、古くから漁業や航海の守護神として厚く信仰されてきました。
龍神や住吉三神との関係
大綿津見神は「海神(わたつみ)」という性格から、龍神信仰とも重ねられる存在とされることがあります。龍神は水を司る霊的存在であり、大綿津見神が龍の姿で現れるとする信仰も各地に残っています。
また、航海を守る神として有名な「住吉三神(すみよしさんしん)」とともに祀られることもあり、日本の海上安全信仰の中心的存在として認識されています。
まとめ
大綿津見神は、海を統べる神として日本神話に登場する重要な神様です。禊の行から生まれた清らかな存在であり、航海の安全や水難除け、漁業の繁栄など、海と共に生きてきた日本人にとって深く身近な守護神とされてきました。
もし海に関わるお仕事をされている方や、水とのご縁を大切にされている方がいれば、一度大綿津見神を祀る神社に足を運んでみてはいかがでしょうか。自然との調和、そして命の源である「水」の力を、あらためて感じることができるかもしれません。
カタカムナの内容をもっと知り、ただ唱えるだけ、聞き流すだけではない効果に近づいてみませんか?