
「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」という言葉は、神道の祓詞(はらえことば)の一部として、神前や神事の際に唱えられることが多い祝詞(のりと)です。神道において「祓い」と「清め」は極めて重要な概念であり、人々の罪や穢れ(けがれ)を取り除き、神と人とのつながりを清浄に保つことを目的としています。この言葉の意味や神道における効果、解釈を解説します。
「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」の意味
この祓詞は4つの部分から構成されています。それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
「祓え給い」(はらえたまえ)
「祓う」という言葉は、罪や穢れを取り除くことを意味します。神道では、日常生活の中で知らず知らずのうちに心や身体に穢れが溜まると考えられており、神々に対して「私の罪や穢れを祓ってください」と願う言葉です。
「清め給え」(きよめたまえ)
「清める」とは、穢れを取り除いた後に、心身をより清らかな状態にすることを指します。祓いと清めは密接に関係しており、祓いによって除去した後、清めることで神にふさわしい状態を取り戻します。
「神ながら守り給い」(かむながらまもりたまえ)
「神ながら」とは、神の御心のままに、という意味です。「神ながら守る」とは、神々の御心によって私たちを正しく守ってください、という願いを表しています。
「幸え給え」(さきわえたまえ)
「幸え(さきわえ)」とは、「幸(さち)」が広がることを意味し、幸福や繁栄を願う言葉です。神の加護のもとで、豊かに恵みを受けられるよう祈る言葉といえます。
神道における「祓い」と「清め」の重要性
神道では、「祓い」と「清め」は、神と人が良い関係を築くために欠かせない儀礼です。
『古事記』や『日本書紀』には、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が黄泉の国から戻った際に、禊(みそぎ)を行って穢れを祓い、そこで神々が誕生したという話が記されています。このことからも、「祓い」と「清め」が神聖な力をもつことがわかります。
神社では、以下のような儀式を通じて祓いと清めが行われます。
大祓(おおはらえ)(6月と12月に行われる罪や穢れを祓う神事)
お祓い(個人や家庭、車や建物などに対して行う儀式)
禊(みそぎ)(水を使って身を清める神事)
これらの儀式の中で「祓え給い、清め給え…」の言葉が唱えられ、参拝者の心身が清められます。
「祓え給い、清め給え…」の効果
「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」という言葉を唱えることで、以下のような精神的・霊的な効果が期待されます。
心の浄化
日々の生活の中で感じるストレスや悩み、不安を取り除き、心をリセットする役割を果たします。
神とのつながりを強める
神道では、穢れがある状態では神と良好な関係を築けないと考えられています。この祓詞を唱えることで、神々の御加護を受けやすくなります。
開運・幸運を引き寄せる
祓いと清めを通じて邪気を払うことで、物事がスムーズに運び、幸運が訪れやすくなると考えられています。
日々の感謝と祈りの習慣化
この言葉を唱えることで、神々への感謝の気持ちを日常生活に取り入れることができ、精神的な安定にもつながります。
神社本庁の見解に基づく解釈
神社本庁の教えによると、神道の本質は「清く明るく正しく直く(なおく)」生きることにあります。祓詞は、この生き方を実践するための大切な手段の一つとされています。
神社本庁が定める基本的な教えでは、「祓い」と「清め」を通じて、神と共に歩む人生を実現し、幸福を得ることが強調されています。そのため、「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」という言葉は、神道の精神そのものを象徴する大切な祈りの言葉であるといえます。
まとめ
「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」は、神道の祈りの言葉として重要な意味を持ちます。この言葉を唱えることで、心身の浄化を促し、神とのつながりを深めることができます。神道の教えに基づき、日常生活の中でこの言葉を意識することで、より清らかで幸福な人生を歩むことができるでしょう。
神社参拝の際には、心を込めてこの言葉を唱え、神々の加護を受ける機会としてください。