カタカムナは、古代日本に存在したとされる高度な文明であり、その謎めいた文字とウタヒ(詩)は、今もなお多くの人々を魅了しています。特に、カタカムナウタヒの第5首から第7首は、宇宙の成り立ちや生命の本質、そして人間の存在に関する深い思想が込められており、それを読み解くことで私たちの現代の生活にも通じる新たな視点を得ることができます。本記事では、この神秘的なウタヒの内容を紐解き、カタカムナが伝えようとした宇宙観を明らかにしていきます。
カタカムナ文明の概要
カタカムナ文明は、古代日本に存在していたとされる高度な文明です。この文明は、カタカムナ文字と呼ばれる独自の文字体系を用いていました。カタカムナ文字は、渦巻状に配置され、内側から外側に向かって読むという特徴があります。また、中心には「八鏡」という鏡を表した記号が描かれており、これを分解した文字が48音を構成しています。
カタカムナ文字の特徴と読み方
カタカムナ文字は、ひらがなやカタカナと同様に一本が1文字を表すとされています。しかし、その配置方法や読み方が独特で、渦巻状に配置され、内側から外側に向かって渦巻状に読み進めるという特徴があります。中心に描かれる「八鏡」という記号は、48音の文字体系を表しており、これを基にカタカムナ文明の高度な技術や知識が伝えられていました。
カタカムナ文献には、後七長の和歌が80種記されており、これを「カタカムナウタヒ」と呼びます。この和歌は、古代人の宇宙観や科学技術、哲学、宗教、鉄法、稲作農業、石器政策、織り物、医学など、さまざまな高度な文明を示唆する内容が含まれています。
カタカムナ文献の発見経緯
楢崎皐月は、兵庫県の六甲山で地元の猟師であるヒラトウジ(平十字)と出会い、父親が宮司をしていた「カタカムナ神社」のご神体だというカタカムナ文献が記された巻物を見せられました。その巻物には、中心に「八鏡」と呼ばれる記号と、そこから渦巻状に広がる文字が描かれていました。奈良崎は、この文字が満州で聞いた老師の話と一致することに気づき、カタカムナ文明の存在を確信しました。
カタカムナ文献の中身とその意味
カタカムナ文献の中には、渦巻き状に並んだ80首のウタヒ(歌)があります。古代人の宇宙観や科学技術、哲学、宗教など、さまざまな高度な知識が含まれています。特に重要とされるのが、第5首、第6首、第7首の歌です。
カタカムナウタヒ 第5首「ヒフミヨイ マワリテメクル ムナヤコト アウノスヘシレ カタチサキ」
カタカムナウタヒの第5首は、「ヒフミヨイ マワリテメクル ムナヤコト アウノスヘシレ カタチサキ」という内容で、これは日本語の数字の読み方である「ひい、ふ、み、よ、いつ、む、な、や、こ、も」を用いて万物の成り立つ順序を説明しています。例えば、「ひ」は1つ、自分自身、始まり、宇宙の始まり、「ふ」は2つ、神海と限界の別々の世界、2面性などを表しています。
カタカムナウタヒ 第6首「ソラニモロケセ ユヱヌオヲ ハエツヰネホン カタカムナ」
「ソラニモロケセ ユヱヌオヲ ハエツヰネホン カタカムナ」と歌われており、これは第5種で歌われたエネルギーが空間に満ち溢れていることを示しています。そして、それを観測し、神河に目覚めることで魂が進化することを表しています。
第6首では、宇宙空間において、万物が集合し、様々な変化や分割を繰り返す過程が描かれています。それらの現象が発現し、やがて見えない生命の核となっていく様子を歌っています。具体的には、どのようにして万物が枝分かれし、繁栄していくのかが示されています。個々の生命が発生し、その根本には正反神話的な関わりが存在しており、その大本が「カタカムナ」だとされています。
カタカムナでは、生命や宇宙の成り立ちが一貫した体系の中で理解されており、これがカタカムナ文明の中心的な思想として伝えられています。第6首は、その思想がどのように現実世界に反映され、私たちが生きる世界の中で現象として表れるのかを説明する詩と言えます。
カタカムナウタヒ 第7首「マカタマノ アマノミナカヌシ タカミムスヒ カムミムスヒ ミスマルノタマ」
カタカムナウタヒ 第7首は、「マカタマノ アマノミナカヌシ タカミムスヒ カムミムスヒ ミスマルノタマ」という内容です。
マカタマノ
「マカタマノ」は「真玉の」とも書かれ、古代日本の文脈では「真実の玉」や「聖なる珠」という意味を持ちます。玉(たま)は古代の人々にとって非常に神聖なものとされ、特に魂や生命力を象徴するものとして扱われました。マカタマノは、その中でも特に清浄で純粋な魂や生命力、あるいは宇宙の本質そのものを表していると考えられます。
アマノミナカヌシ
「アマノミナカヌシ」(天之御中主神)は、日本神話における最初の神であり、宇宙の中心に位置する神とされています。『古事記』や『日本書紀』では、宇宙の始まりにおいて最初に現れた神として記され、天地創造の中心的な役割を果たしたとされています。アマノミナカヌシは、宇宙の調和や秩序の象徴とされ、その存在は目に見えないが、万物を支配し、統べる存在として重要視されます。
タカミムスヒ
「タカミムスヒ」(高御産巣日神)は、『古事記』に登場する神で、天地創造における創造神の一柱とされています。タカミムスヒは、高天原(天上の世界)において生成と繁栄を司る神であり、物事を「産み成す」力を持つとされています。名前の「ムスヒ」は「結び」や「生成」を意味し、生命や物事が結びつき、成長していく力を象徴しています。
カムミムスヒ
「カムミムスヒ」(神産巣日神)もまた『古事記』に登場する神で、タカミムスヒと対になる存在です。カムミムスヒは、神聖な生成力や繁栄を象徴し、天上と地上の間を繋ぐ役割を持つとされています。この神は、物事が生命を持ち、繁栄するための力を司っているとされ、生命そのものの根源を象徴します。
ミスマルノタマ
「ミスマルノタマ」は「御統(みすまる)の珠」とも書かれ、統治や秩序の象徴としての玉を意味します。この言葉は、神聖な力によって物事が統合され、調和が保たれることを表しています。特に日本の天皇や支配者が、その統治の正当性を象徴するものとして重要視していたと考えられます。
これらの言葉は、日本の神話や思想における宇宙観、生命観、そして統治の理念を表すもので、それぞれが深い意味を持ちます。アマノミナカヌシは宇宙の中心に位置する神として秩序を司り、タカミムスヒとカムミムスヒは生命の生成と繁栄を象徴します。そして、マカタマノとミスマルノタマは、これらの神々の力によってもたらされる宇宙の調和や統治の正当性を表しています。
カタカムナ文明と日本語の関係
カタカムナ文字と日本語の関係は非常に深いです。日本語はカタカムナと同様に48音で構成され、一文字一文字に深い意味が込められています。例えば、「あ」には明るいという意味があり、「き」は木々を意味します。これらの音を組み合わせることで、日本語の単語が形成され、その意味が深まっていくのです。
日本語にはオノマトペ(擬音語)が多く存在し、音に意味を持たせる文化があります。これはカタカムナ文明から受け継がれた知識であり、日本人の音に対する感受性を高めています。日本語を使いこなすことは、単に語彙を増やすだけでなく、音の意味を理解し、適切に使うことが求められます。
カタカムナ文明の影響と現代社会への示唆
カタカムナ文明は、古代日本の高度な技術や知識を示すものであり、現代社会にも多くの示唆を与えています。特に、男性原理である「さき」と女性原理である「あわ」の調和が重要とされています。これらの原理が調和することで、生命力や創造力が生まれます。
現代社会では競争や自己主張が重視され、「さき」の力の偏りが目立ちます。しかし、「あわ」の力を意識し、バランスの取れた生き方を模索することが重要です。これにより、真の創造性や生命力が発揮されると考えられます。
カタカムナ文明の未来
カタカムナ文明の知識を解き明かすことで、私たちは古代の知恵を現代に生かすことができます。カタカムナ文献には、宇宙の本質や人間の存在意義、自然との調和など、現代社会が直面する課題に対する多くの示唆が含まれています。
私たちは、カタカムナ文明の知識を活用し、より調和の取れた社会を築くことが求められます。カタカムナ文明の未来は、私たちの手に委ねられており、その知恵を受け継ぎ、新たな時代を創造することが求められます。