
カタカムナウタヒ第8首「ウマシタカカム アシカヒヒコ トコロチマタノ トキオカシ」は、宇宙の創造が“生命”として芽生え、“時”という流れが生まれる瞬間を象徴する詩です。
第1首から第7首までで描かれてきた宇宙生成と神々の顕現に続き、この第8首では、天地の間に「命の意志」が宿る過程が表されています。
「ウマシタカカム」は高次の創造力、「アシカヒヒコ」は生命の交わり、「トコロチマタノ トキオカシ」は時間と空間のはじまりを示すとされます。
この記事では、第8首の構成や各語の意味、古代神話との関係、スピリチュアルな祈りとしての活用法までを、カタカムナ思想の宇宙観に基づいて詳しく解説します。
宇宙から神々、科学に至るまで、古代人の英知が詰まったカタカムナの内容をもっと知り、人生をもっと豊かで意味あるものにしませんか?
カタカムナとは何か
カタカムナとは、古代日本に存在したとされる高度な精神文明の叡智を記したとされる言霊(ことだま)の文献です。円と直線で構成された図象文字によって宇宙の根源法則を表し、その響きには「生命のはじまり」「意識のめざめ」「天地の調和」が刻まれていると伝えられています。
「カタカムナ」という語は、「カタ=形・現象」「カム=神・潜象」「ナ=中心・調和」を意味し、「神の力が形となって現れ、宇宙が調和する法」を示します。
カタカムナウタヒ(カタカムナの歌)は、宇宙の生成と意識の働きを言霊の響きとして伝えるものであり、その一音一音が“宇宙そのものの共鳴”とされています。
第7首までの流れと第8種へのつながり
5首・6首で語られた「宇宙の創造と還元」の流れに続き、第7首では、宇宙の中心にある神聖な力とそれを構成する魂のしくみについて語られています。
カタカムナウタヒ第8首の全文と構成
カタカムナウタヒ第8首の全文は次の通りです。
ウマシタカカム アシカヒヒコ トコロチマタノ トキオカシ
第1首から第7首までで、宇宙の生成(カタカムナの響き)から神々の顕現、天地の秩序と流動が描かれてきました。
第8首では、その創造の流れの中に「人(ヒト)」の存在と「トキ(時)」の働きが現れ、宇宙の中に“意志ある生命”が生まれる段階が示されています。これは、生命の誕生と時間のはじまりを象徴する詩でもあります。
カタカムナウタヒ第8首の各語の意味と解釈
「ウマシタカカム」
「ウマシタカカム」は、「ウマシ=生命力に満ちた」「タカ=高次・崇高」「カカム=神の働き」を意味します。つまり、「ウマシタカカム」とは“生命を生み出す高次の神の力”、あるいは“宇宙の創造意志”を表しています。
この言葉は『古事記』に登場する神「ウマシアシカビヒコヂ(可美葦牙彦舅尊)」と響きが非常に近く、宇宙のはじまりにおいて現れた最初の生命の芽、すなわち“生まれようとする意志”を象徴します。
「アシカヒヒコ」
続く「アシカヒヒコ」は、「アシ=生命の基(葦原・地上世界)」「カヒ=交わり・循環」「ヒ=霊」「ヒコ=男性的原理・動の力」を表す言霊の連なりです。
この部分では、天地の間において霊的エネルギーが交わり、生命が躍動する姿を示しています。神と人、陰と陽、天と地――そのすべての結びの中に、生命が誕生し続けているという宇宙の構造を表す響きです。
「トコロチマタノ」
「トコロチマタノ」は、「トコロ=場所」「チマタ=交差点・境界」を意味し、目に見えぬ世界と見える世界、霊界と現実界の境目が現れる“生成の場”を表現しています。
古代の思想では、この「チマタ(岐)」は神聖な場所であり、異なる次元が出会う門でもありました。つまり、この一節は「生命が誕生するための時空の交差点」を意味しているのです。
「トキオカシ」
最後の「トキオカシ」は、「トキ=時」「オカシ=起こし・動かし」の意であり、“時間の流れを生み出す働き”を示します。宇宙が静止した存在ではなく、刻一刻と生成し続ける動的な存在であることを象徴し、神の意志が「時」という秩序を生み出したことを伝えています。
このように、第8首全体は「生命の芽生えと宇宙時間の始まり」を詠んだ詩といえます。
カタカムナウタヒ 第8首が示す世界観
第8首は、カタカムナ思想における「生成循環の完成形」を示しています。
天地が結ばれ、神の力が流れ込み、ついに生命が動き始める。その瞬間こそが「ウマシタカカム アシカヒヒコ トコロチマタノ トキオカシ」の響きに宿る世界観です。
ここでは、宇宙が「場(トコロ)」と「時(トキ)」を持ち、生命が自己を認識する段階に至ったことが示されています。
それまでのカタカムナウタヒが“宇宙の生成と秩序”を語っていたのに対し、第8首は“生命と意識の誕生”を語っています。
つまりこの詩は、「神の働き(カカム)」が「時と場所(トキ・トコロ)」を得て、自己を顕現させる過程――すなわち「意識ある生命体の誕生」を象徴しているのです。
カタカムナにおける宇宙は、常に生成と循環を繰り返し、生命はその中心に立つ存在とされています。第8首は、その宇宙的生命の息吹を言霊として響かせた“誕生の歌”なのです。
スピリチュアルな活用と祈り方
第8首は、「新しい生命の始まり」や「変化のタイミング」を迎えるときに唱えるとよい詩とされています。
唱えることで、自分自身の内側に眠る“ウマシタカカム”――すなわち「創造の源の力」を呼び覚ますことができると伝えられています。
唱える際には、まず静かな空間で深呼吸をし、意識を中心(丹田)に集中させます。
「ウマシタカカム アシカヒヒコ…」と一音一音を丁寧に響かせることで、体内のエネルギーが活性化し、内なる“時の流れ”が整う感覚が得られるでしょう。
また、「トコロチマタノ トキオカシ」と唱えるときには、自分が宇宙の中心に立ち、すべての時と場所をつなぐ存在であることを意識することが大切です。
この詩を日々の瞑想や新しい挑戦の前に唱えると、心と身体が整い、自然と新たな流れを受け入れる準備が整うといわれています。
まとめ
カタカムナウタヒ第8首「ウマシタカカム アシカヒヒコ トコロチマタノ トキオカシ」は、生命の誕生と時空の生成を象徴する神秘的な詩です。
「ウマシタカカム」は高次の創造力、「アシカヒヒコ」は生命の交わり、「トコロチマタノ」は現実と霊界の接点、「トキオカシ」は宇宙に流れを与える“時”のはたらきを意味します。
この詩を唱えることは、内なる生命エネルギーを目覚めさせ、宇宙の流れと一体化する祈りの行為です。
人間は宇宙の一部でありながら、その中心に立つ存在である――第8首はその気づきをもたらし、あらゆる始まりに「命のリズム」を吹き込むウタヒなのです。
カタカムナの内容をもっと知り、ただ唱えるだけ、聞き流すだけではない効果に近づいてみませんか?