事代主神とは?大国主神の息子の神様、国譲り神話や天の逆手

事代主神(ことしろぬしのかみ)は、日本神話において大国主神の息子として知られ、特に国譲り神話で重要な役割を果たしています。釣りを楽しむ中で建御雷神から国譲りを求められた事代主神は、天の逆手を打ち、船を青柴垣に変えてその中に隠れるという象徴的な行動で国を天神に譲る意志を示しました。この決断は、国譲りを進める鍵となり、大国主神の国譲りの最終的な承諾へと繋がります。この記事では、事代主神の背景や国譲り神話での役割、その後の伝承について詳しく探ります。

事代主神とは?

事代主神(ことしろぬしのかみ)は、日本神話に登場する神で、特に出雲神話に関連しています。大国主神(おおくにぬしのかみ)の子で、海や漁業、商業、託宣の神として信仰されています​。また、恵比寿神(えびす)が事代主神と同一視されることも多く、商売繁盛や大漁の神として知られています。

事代主神と系譜、大国主神やニギハヤヒ、アジスキタカヒコネとの関係

事代主神は大国主神と神屋楯比売命(かむやたてひめのみこと)の子です。兄弟には建御名方神(たけみなかたのかみ)がおり、また異母兄弟としてニギハヤヒ(饒速日命)や、アジスキタカヒコネ(味鋤高彦根命)がいます。これらの神々との関係は、神話の中で様々な形で描かれており、特に大国主神との関係が強調されています。

事代主神は恵比寿様?

事代主神は七福神の一柱である恵比寿神と同一視されています。恵比寿は商売繁盛や豊漁の神として広く信仰されており、事代主神も同様のご利益を持つ神として知られています。このため、多くの神社で事代主神と恵比寿神が併せて祀られています。

国譲り神話での事代主神

国譲り神話において、事代主神(ことしろぬしのかみ)は大国主神(おおくにぬしのかみ)の長子として重要な役割を果たします

建御雷神(たけみかづちのかみ)経津主神(ふつぬしのかみ)と天鳥船神(あめのとりふねのかみ)が国譲りの交渉のために地上に降り立ち、大国主神に国を譲るよう迫ったところ、息子の事代主神や建御名方神に国譲りを確認してみるように言われ、事代主神はすぐに承諾しました。

事代主神は釣りをしている最中に建御雷神から国譲りを求められ、これに応じると、自分の乗っていた船を踏んで傾け、特殊な柏手を打ちました。これを「天の逆手(あめのさかて)」といい、一般に「手の甲で打つ柏手」として理解されています。日本では反対のことを行うと縁起が悪いと言われており、天の逆手も呪いの儀式ではないかと言われています。これによって船は青柴垣(あおふしがき)に変わり、事代主神はその中に隠れました​ 。

この行動は、国を天神(天津神)に譲る意志を示すものであり、強い象徴的な意味を持っています。事代主神が天神に従ったことで、彼の弟である建御名方神(たけみなかたのかみ)も建御雷神に服従し、大国主神は最終的に国譲りを承諾することになります。大国主神は「事代主神が先頭に立てば、私の180人の子供たちも事代主神に従い、天津神に背くことはないだろう」と言い、国譲りの決断に至ったのです​。

この物語は、神話の中で平和的な国の移譲を象徴しており、事代主神の決断が天孫降臨の重要な役割となりました。

事代主神がした天の逆手

天の逆手(あめのさかて)とは、事代主神が国譲りを決断した際に、船を青芝垣(あおふしがき)に変えて、その中に隠れた行動を指します。この天の逆手は特異な柏手(かしわで)を打つ儀式的な動作であり、事代主神が天孫に国を譲る意思を示す象徴的な行動でした。天の逆手という拍手の方法については、通常の拍手の反対で打つことから縁起が悪い呪いではないかという考えもあります。

事代主神の神社とご利益

事代主神は多くの神社で祀られており、その代表的な神社には、長野県の諏訪大社、島根県の美保神社や奈良県の三輪恵比須神社、阿波市の事代主神社 、大阪の今宮戎神社、長崎県南松浦郡新上五島町の事代主神社などがあります。これらの神社では、商売繁盛、海上安全、漁業の成功などのご利益があるとされています。