呪物とは何か?日本神話や日本の歴史から紐解く呪物

呪物(じゅぶつ)という言葉を聞くと、現代ではホラーやオカルトのイメージが先行しがちですが、本来は「特別な力を宿した物」を意味し、古代から人々の暮らしや信仰と深く関わってきました。日本神話や歴史には、神の力を帯びた神器や、怨念を鎮めるための神像、身代わりとなる人形など、さまざまな呪物の形が見られます。

本記事では、日本文化における呪物の位置づけを、神話や歴史的資料をもとに紐解き、西洋文化との違いや、八百万の神の思想が生み出した日本独自の呪物観について考察します。

日本神話に見られる「呪物」の源流

古事記』や『日本書紀』に記された神話には、明確な呪物という語は登場しないものの、「神宝(しんぽう)」や「神の道具」として、特別な力を持った物が多数描かれています。

たとえば、天照大御神が天岩戸に隠れたとき、八咫鏡(やたのかがみ)、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)などの神器が登場します。

これらは単なる装飾品や武器ではなく、神の意志を伝える媒体であり、人間と神を結ぶ象徴的な存在です。呪術的というより「神威(しんい)」を帯びた存在としての呪物に近いといえるでしょう。

また、スサノオノミコトが出雲で八岐大蛇を退治した際に得た草薙剣(のちの天叢雲剣)は、後に朝廷の象徴として重宝されます。このように、武器や装身具に神格や呪的性格が付与されているのは、日本神話の一つの特徴です。

歴史に残る呪物・呪詛の痕跡

日本の歴史にも、呪物に関する記録がいくつも残されています。特に平安時代には、怨霊信仰が盛んとなり、政治的に失脚した人物や不遇の死を遂げた者が祟りをなすと恐れられました。

代表的な例として、菅原道真が左遷された後に起きた一連の雷災や政変は、道真の祟り(天神信仰)とされ、後に太宰府天満宮をはじめとする天満宮が建立されました。道真自身が呪物になったわけではありませんが、彼の怨念を鎮めるために儀式や神像が用意されるなど、物(神体)に念を込めて祈るという呪物的要素が見られます。

また、古墳時代以降の遺跡からは「呪符」や「形代(かたしろ)」、あるいは「人形(ひとがた)」と呼ばれる、身代わりとしての呪物が出土する例もあり、疫病や災厄から人々を守るために、具体的な「物」に呪の力が託されていたことがわかります。

呪術者と呪物―日本における「呪いを扱う人」

日本には「呪術師」や「まじない師」と呼ばれるような専門職は、古代から存在していました。『延喜式』や『日本書紀』などには、陰陽寮(おんみょうりょう)で陰陽道を用いて天文や祈祷を行う陰陽師の存在が記されています。特に安倍晴明は、呪術者の代表格として後世まで語られています。

これら呪術者たちは、紙、木、金属などの素材に霊的意味を付与し、「護符」「式神」「呪詛道具」といった形で物を媒体とする力を用いていました。つまり、日本における呪物は、術者の意志を込めて依り代とするための道具でもあったのです。

日本の呪物観と八百万の神という価値観

西洋における呪物は、しばしば邪悪な力が宿った物や取り憑かれた物という負の側面が強調されます。呪物は排除すべき不浄な存在とみなされ、除霊や破壊を通じて取り除く対象となることが多いのが特徴です。

一方、日本においては、物そのものに善悪をつけるよりも、「物には魂が宿る」という八百万(やおよろず)の神の思想が根底にあります。

壊れた道具や長年使った品には「付喪神(つくもがみ)」が宿るとされ、大切に扱う文化が発達しました。

つまり、呪物とは恐れるべき存在ではなく、関係性や扱い方によっては敬うべき存在でもあるのです。この点が、日本文化における呪物観の大きな特徴といえるでしょう。

英語や外国語で呪物はどんな表現をするか

「呪物(じゅぶつ)」に該当する言葉は、英語や他の外国語では直接的に同じ概念を持つ単語は少なく、日本独自の信仰や文化背景を正確に伝えるには補足が必要です。ただし、以下のような言い換えや類似表現が使われます。

英語での表現

日本語の「呪物」 英語の表現
Cursed object(呪われた物) 最も一般的な言い方。ホラー映画や都市伝説などで使われる。悪霊が宿るものなどを指すことが多い。
Haunted object(幽霊のいる物) 幽霊や霊的存在が宿るとされる物。オカルト文脈でよく使われる。
Talisman gone wrong(呪いの護符) 元は守りのためだったが、負の力を持ってしまったという含み。
Occult artifact(オカルト的遺物) 古代の呪術的な遺物などに対して使われる。ミステリアスで恐れられる物。
Ritual object(儀式用具) 宗教や呪術に使う物で、必ずしも「呪い」の意味ではない。神聖な力を持つものとして紹介されることも。

※なお、「cursed item」「spirit-bound item」「object imbued with spiritual energy」なども文脈によって使われます。

その他の言語での例

中国語(簡体字) 「诅咒物」「附灵物」

「呪われた物」「霊が憑いている物」の意味。道教や民間信仰でも似た概念があります。

韓国語 「저주받은 물건(チョジュバドゥン ムルゴン)」

直訳で「呪われた物」。韓国でもシャーマニズム文化の中に類似の信仰あり。

ドイツ語 「verfluchter Gegenstand」「besessener Gegenstand」

「呪われた物体」「取り憑かれた物体」など、キリスト教文化圏の霊的観念に近い表現。

日本における呪物とは「神と人、記憶をつなぐ媒介」

日本の神話や歴史における呪物は、単に人を呪う道具ではなく、神の力を宿し、記憶や関係性をつなぐ媒介としての役割を担ってきました。そこには八百万の神々の思想が色濃く反映されており、「物」に対する畏敬や感謝の念が前提となっています。

こうした呪物観は、現代の私たちにも大きな示唆を与えてくれます。物を大切にする心、目に見えない力を尊重する姿勢は、技術が発展した今なお、日本文化の根幹に息づいているのです。

 

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