天津祝詞(禊祓詞)とは?全文から意味や効果を解説

天津祝詞(禊祓詞)とは、日本古代から伝わる神聖な祓いの言葉で、穢れを祓い、心身を浄化するために奏上される祝詞です。伊邪那岐命が日本神話で行った禊祓いに由来し、個人や日常生活の穢れを取り除くために用いられます。本記事では、天津祝詞の全文(原文とひらがな訳)、その意味や祓いの効果、そして大祓詞との違いについて解説しています。神道の清めの儀式に欠かせない天津祝詞について、詳しくご紹介します。

天津祝詞(禊祓詞)とは?

天津祝詞(あまつのりと/禊祓詞(みそぎはらえのことば)は、日本古代の神道で用いられる祝詞で、心身を清め、災いや罪を祓うために奏上される言葉です。この祝詞は、主に神前で心身の穢れや罪を浄化することを目的として唱えられ、特に伊邪那岐(いざなぎ)が日本神話で行った禊祓いに基づいています。天津祝詞は、私たちが日々の生活で知らず知らずに負う穢れを神聖な言葉によって祓い、平安をもたらす力があるとされています。

天津祝詞(禊祓詞)原文の全文

高天原に 神留まります 神々の 大前をかがらわせて 恐み恐みも白さく
掛けまくも畏き 伊邪那岐の大神 筑紫の日向の 橘の小戸の阿波岐原に
禊ぎ祓へ給ひし時に 成り坐せる祓へ戸の大神たち 諸諸の禍事 罪穢を
祓へ給へ清め給へと 白すことの由を 聞食せと恐み恐みも白さく

天津祝詞(禊祓詞)のひらがな訳

たかあまはらに かみつまります かみろぎ かみろみのみことを もちて
すめみおや かみいざなぎのみこと
つくしのひむかの たちばなの おどの あわぎはらに みそぎ はらえたまう
ときになりませる はらえどのかみたち もろもろの まがこと つみ けがれを
はらえたまい きよめたまうことを たまう

天津祝詞の意味と効果

天津祝詞の内容は、天の高天原(たかあまはら)に住む神々が、人々の罪や穢れを清め、浄化することを祈願するものです。この祝詞は、古代日本における穢れを祓う神事に使われ、神聖な場で唱えることによって、祈りを捧げる人の穢れを祓い、心身ともに清浄な状態に導く効果があるとされています。

祝詞に登場する伊邪那岐命は、日本神話の創世神であり、穢れを祓う儀式を行ったことで知られます。彼が筑紫の日向(現在の九州宮崎県付近)で行った禊祓いが、この祝詞の由来です。彼の禊に基づき、祓戸大神たちが人々の罪を祓って清めることを願うのが、天津祝詞の主な内容です。

祓いの効果

天津祝詞は、日常的な穢れや災厄を清め、心身を浄化する効果があると信じられています。神聖な場所で唱えることによって、祝詞を唱える人自身や周囲の環境を清らかな状態へと導き、平安と安寧をもたらす力があるとされています。個人だけでなく、家庭や職場、地域全体を清める際にも奏上され、より広範囲な浄化が期待されます。

大祓詞との違い

大祓詞(おおはらえのことば)も穢れを祓うための祝詞ですが、天津祝詞とは役割が異なります。大祓詞は全国的な浄化を目的として6月と12月の大祓に用いられるのが特徴で、国全体や地域の浄化に重きが置かれます。

一方、天津祝詞は個人の心身や日常生活の穢れを取り除くために用いられることが多く、簡潔で短めの祝詞です。

天津祝詞は、個人や家庭の穢れを祓う日常的な禊祓詞として親しまれており、大祓詞が広範囲の浄化を担うのに対し、天津祝詞は私たち一人ひとりの日々の清めに適した祝詞です。

まとめ

天津祝詞は、日本古代から続く神聖な言葉で、神々に心身の穢れを祓っていただくために奏上されます。伊邪那岐の禊祓いに基づくこの祝詞は、私たちの心と体を清め、平穏と安寧をもたらす力があるとされています。日常的に身を清める手段として、現代においても天津祝詞を唱えることが、清らかで平和な生活の一助となるでしょう。