盆棚(精霊棚)とは?まこもとほおずきの意味、飾り方と神道の祭壇との共通点

盆棚(精霊棚)とは?まこもとほおずきの意味、飾り方と神道の祭壇との共通点

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祓え給い、清め給え

お盆になると、仏壇の前に小さな台をしつらえ、まこもを敷き、ほおずきを吊るして、精霊馬やお供えを並べます。これが盆棚(ぼんだな)、または精霊棚(しょうりょうだな)と呼ばれるものです。

この記事では、盆棚とは何か、なぜ仏壇とは別に設けるのか、まこもを敷く理由、ほおずきを吊るす意味、飾り方の基本、そしてこの棚が神道の祭壇と驚くほど似ているという点まで、信仰の背景から解説します。

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盆棚(精霊棚)とは何でしょうか

盆棚とは、お盆の期間に帰ってこられるご先祖様の霊をお迎えするために設ける、臨時の祭壇です。精霊棚、魂棚(たまだな)とも呼ばれます。

ここで多くの方が疑問に思われるのが、仏壇があるのになぜ別の棚を作るのか、という点です。実はここに、日本のお盆の本質が隠れています。

仏壇は、ご本尊を安置し、日常的に礼拝する場所です。一方の盆棚は、年に一度帰ってこられる霊をお迎えするための、期間限定の特別な座席です。お客様がいらっしゃるときに客間を整えるのと同じ発想だと考えるとわかりやすいでしょう。ご先祖様は一年に一度だけの大切なお客様なのですから、専用の場所を用意してお迎えするのです。

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まこもを敷く理由

盆棚(精霊棚)にまこもを敷く理由

盆棚に敷く、細い草を編んだ敷物をまこも(真菰)といいます。イネ科の水辺の植物で、日本各地の川辺や沼地に自生してきました。

まこも(真菰)

まこもが選ばれる理由は、この植物が古くから清浄なもの、聖なるものとされてきたためです。

お釈迦様が病人をまこもの敷物に寝かせて治療したという伝承が仏教側にはあります。一方の日本では、まこもは神事に用いられる神聖な植物でした。出雲大社の凉殿祭では真菰を敷いた上を宮司が渡り、その真菰を持ち帰ると無病息災になるとされます。伊勢の神宮をはじめ各地の神社でも、まこもは神事に用いられてきました。

つまりまこもを敷くという行為は、そこが清浄な神聖の場であることを示す結界を張っているのと同じ意味を持ちます。仏教行事であるお盆の中に、神道的な清めの発想がはっきりと入り込んでいる場面です。

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ほおずきは、あの世を照らす灯り

盆棚に吊るされる赤いほおずきは、漢字で鬼灯と書きます。鬼、つまり死者の世界の灯りという意味です。

あのふっくらとした形と朱色は、まさに提灯そのものです。ご先祖様が暗い道を迷わず帰ってこられるよう、灯りに見立てて飾られます。中が空洞であることから、霊が宿る依り代になるという解釈もあります。

お盆の飾りを並べてみると、灯りをかたどったものがいくつも登場することに気づきます。玄関先の迎え火、屋内の盆提灯、そして盆棚のほおずき。三重に灯りを用意して、暗い道を照らそうとしている。ここまで念を入れるのは、あの世からの道のりがそれだけ暗く遠いものだと想像されていたからでしょう。

東京の浅草寺で七月に開かれるほおずき市は、この盆飾りとしての需要から生まれた市です。ほおずきが夏の風物詩となった背景にも、お盆の信仰があります。

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盆棚に並べるもの

飾り方は地域や宗派によって差がありますが、基本的な構成は次のとおりです。

もの置く場所意味
まこも棚の全面に敷く清浄な場を作る結界
位牌棚の中央奥ご先祖様がおられる場所
精霊馬・精霊牛中央から前方行き帰りの乗り物
ほおずき上部に吊るす、または飾る帰り道を照らす灯り
水の子手前無縁の霊や餓鬼への施し
そうめん、団子、季節の果物中段から前方もてなしの食事とお土産
閼伽水(あかみず)手前喉を潤していただく清水。みそはぎを添える
盆提灯棚の左右目印としての灯り

閼伽水に添えるみそはぎは禊萩と書き、その名のとおり水を注いで清めるための植物です。これもまた、神道的な祓いの感覚が入り込んでいる部分と言えます。

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四隅に竹を立てる本格的な形

地域によっては、盆棚の四隅に青竹を立て、上部に縄を張り、そこにほおずきや季節の作物、色紙などを吊るす形をとります。この本格的な盆棚を見たとき、多くの方が既視感を覚えるのではないでしょうか。

そう、地鎮祭の祭壇そっくりなのです。四隅に竹を立て、注連縄を張り、その内側を神域とする。神道の祭場の作り方と、盆棚の構造は基本的に同じです。

四隅に柱を立てて縄を張り、中を清浄な空間とする。この形式は、神を招くために仮の祭場を設けるという、日本のきわめて古い祭祀の作法です。仏教行事のはずのお盆で、なぜこの形が使われているのでしょうか。

答えは明快です。日本のお盆が、仏教伝来以前からあった祖霊をお迎えする土着の行事を土台にしているからです。盂蘭盆会という仏教の名前と枠組みをまといながら、その中身は日本古来の祭りの作法で組み立てられている。盆棚は、その二重構造が最も目に見える形で表れた場所なのです。

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お正月の神棚と比べてみると

当サイトで繰り返しお伝えしているお盆と正月の対応関係が、ここでもはっきり現れます。

役割お盆お正月
迎える相手ご先祖様の霊年神様
迎える場盆棚(精霊棚)神棚、床の間
結界を示すものまこもしめ縄
依り代精霊馬、ほおずき門松、鏡餅
灯り・目印迎え火、盆提灯門松

結界を張り、依り代を用意し、目印を立て、供物を並べる。夏も冬もまったく同じ手順を踏んでいることがわかります。片方は仏教行事、もう片方は神道的な行事とされているにもかかわらずです。

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いつ設けて、いつ片付けるのでしょうか

盆棚は、迎え火を焚く十三日までに整えます。十二日のうちに設けておくと、当日慌てずに済みます。

片付けるのは、送り火を焚いた十六日の後です。まこもや飾りは、以前は送り火とともに燃やしたり川に流したりしましたが、現在は白い紙に包み塩で清めてから処分するか、寺でお焚き上げしていただくのが一般的です。

なお、住宅事情から盆棚を設けられない家庭も多くあります。その場合は、仏壇の前に小机を置いてまこもを敷くだけでも、あるいは仏壇そのものを丁寧に整えるだけでも構いません。形式より、迎える気持ちを形にすることが大切です。

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筆者の考察

盆棚という飾りが面白いのは、それが一年のうち数日しか存在しない祭壇だという点です。

神社の社殿も、家の仏壇も、そこに常にあります。しかし盆棚は、十三日に現れて十六日に消える。この期間限定という性格が、お盆という行事の本質をよく表しています。

日本の祭りには、こうした仮設の祭場が数多く登場します。祭りのときだけ設けられる御旅所、地鎮祭の仮の祭壇、正月だけ立てる門松。神聖な場所を常設せず、必要なときに作って、終われば片付けるという感覚が、この国の信仰にはあります。

だからこそ、その数日は特別なのだと思います。いつでも会えるのではなく、この期間だけ。まこもを敷き、ほおずきを吊るし、きゅうりの馬を並べる。そうやって手を動かして場を作る時間そのものが、会えなくなった人を思い出す時間になっているのでしょう。

まとめ

盆棚(精霊棚)は、お盆にご先祖様をお迎えするために設ける期間限定の祭壇です。仏壇とは別に設けるのは、年に一度のお客様のために特別な座席を用意するという発想によります。

敷物のまこもは神事にも用いられる清浄な植物で、そこが神聖な場であることを示す結界の役割を果たします。ほおずきは鬼灯と書き、帰り道を照らす灯りに見立てられます。四隅に竹を立てて縄を張る本格的な形は神道の祭場そのものであり、仏教行事の中に日本古来の祭祀の作法が生きていることを教えてくれます。

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祓え給い、清め給え

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