カグツチとは?(迦具土神)火を管理する神様=火産巣日神(ほむすびのかみ)

カグツチ(迦具土神)は、日本神話における火の神であり、火産巣日神(ほむすびのかみ)とも呼ばれます。彼はその誕生とともに母である伊邪那美命(イザナミ)を焼き尽くし、その結果、父である伊邪那岐命(イザナギ)によって命を奪われました。カグツチの死後、その血と遺体からは多くの神々が誕生しました。この記事では、カグツチの神話、誕生した神々、そして彼を祀る神社について詳しく解説します。

カグツチとは?(迦具土神)

カグツチ(迦具土神)とは、日本神話に登場する火の神であり、火産巣日神(ほむすびのかみ)とも呼ばれます。古事記によると、カグツチは伊邪那美命(イザナミ)の最後の子供として誕生しましたが、その炎の力によって母を焼き殺してしまいます。これに怒ったカグツチの父である伊邪那岐命(イザナギ)は、カグツチの首を十拳剣「天之尾羽張(アメノオハバリ)」で切り落としました。この時、カグツチの血や体からは様々な神々が誕生しました。

カグツチの系譜とエピソード

カグツチの誕生により、伊邪那美命は命を落とし、その結果、黄泉の国へ向かうことになります。彼の首を落とした際に生まれた神々には、岩石の神や雷神、雨の神などが含まれ、日本神話において重要な役割を果たします。また、カグツチ自身も火の神として、祓いや再生、火の管理を象徴する存在となっています。

カグツチの血から生まれた神

カグツチの首を切り落とした際に生まれた神々の名前と特徴をまとめた一覧表です。誕生した神々から、カグツチという神様がどんな力や特性を持っていたかがわかります。

神名 生まれた場所 特徴
石折神(いはさくのかみ) 十拳剣の先端からの血が岩石に落ちた 岩石を司る神
根折神(ねさくのかみ) 十拳剣の先端からの血が岩石に落ちた 根を司る神
石筒之男神(いはつつのをのかみ) 十拳剣の先端からの血が岩石に落ちた 筒を司る神
甕速日神(みかはやひのかみ) 十拳剣の刀身の根本からの血が岩石に落ちた 甕を司る神
樋速日神(ひはやひのかみ) 十拳剣の刀身の根本からの血が岩石に落ちた 樋を司る神
建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ) 十拳剣の刀身の根本からの血が岩石に落ちた 雷神、戦神
闇淤加美神(くらおかみのかみ) 十拳剣の柄からの血から生まれた 闇を司る神
闇御津羽神(くらみつはのかみ) 十拳剣の柄からの血から生まれた 闇を司る神

カグツチの死体から生まれた神

カグツチの死体から生まれた神々の名前、誕生した場所、そしてその特徴をまとめた一覧表です。

神名 誕生した場所 特徴
正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ) カグツチの頭 山の神
淤縢山津見神(おどやまつみのかみ) カグツチの胸 山の神
奥山津見神(おくやまつみのかみ) カグツチの腹 山の神
闇山津見神(くらやまつみのかみ) カグツチの性器 山の神
志藝山津見神(しぎやまつみのかみ) カグツチの左手 山の神
羽山津見神(はやまつみのかみ) カグツチの右手 山の神
原山津見神(はらやまつみのかみ) カグツチの左足 山の神
戸山津見神(とやまつみのかみ) カグツチの右足 山の神

火産巣日神(ほむすびのかみ)としてのご利益

カグツチは火産巣日神(ほむすびのかみ)とも呼ばれ、火に関する事柄を管理する神として信仰されています。火伏せや火難除け、鍛冶や土器制作などのご利益があり、特に祓いや浄化の神としても崇められています。火が全てを浄化し、物事を初期状態に戻す力を持つとされるため、厄除けや再生を願う人々から信仰を集めています。

カグツチを祀る神社

カグツチは、京都の愛宕神社などで主祭神として祀られています。愛宕神社は、火難除けや火伏せのご利益を求める参拝者が多く訪れる場所として知られています。

火男火売神社(大分県別府市)は771年(宝亀2年)に創祀されたと伝えられており、別府温泉の源である鶴見岳の山頂に位置し、火之加具土命と火焼速女命の二柱の神を祀っています。この神社は温泉をもたらす神としても信仰されています。

静岡県浜松市の秋葉山本宮秋葉神社をはじめ、全国の秋葉神社や愛宕神社、野々宮神社などでも祀られています。

島根県安来市の意多伎神社も関連が指摘されています。

三重県熊野市の産田神社には、伊奘冉尊によって火之加具土命が誕生したという伝承があり、近隣の花窟神社には火之加具土命の御陵が伊奘冉尊の御陵と向かい合う形で鎮座しています。熊野地方は火之加具土命に深い縁を持つ地とされています。

まとめ

カグツチ(迦具土神)は、古事記に記される火の神であり、その役割は日本神話の中で重要な位置を占めています。彼の物語や信仰は、火の管理や再生、浄化の力を象徴し、現代においても多くの人々に崇拝されています。愛宕神社をはじめとする多くの神社で祀られているカグツチを訪れ、その力を感じてみてはいかがでしょうか。