

スサノオノミコト(須佐之男命)は、日本神話における重要な神の一柱であり、海や嵐を司る神とされています。古事記や日本書紀においては、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、月読命(つくよみのみこと)とともに、伊耶那岐命(いざなぎのみこと)の禊から生まれた三貴神(さんきしん)のひとりとして描かれます。伊耶那岐命が鼻を清めたときにスサノオが生まれたとされ、その力強く荒々しい性格は自然の激しさを象徴しています。
スサノオノミコトはその性格から高天原で騒動を起こし、姉である天照大御神の怒りを買い、天上の世界を追放されます。しかしその後、地上に降り立った彼は出雲の地で八岐大蛇(やまたのおろち)を退治するという英雄的な行動を見せます。
この物語の中でスサノオは、怪物にいけにえとして差し出されようとしていた櫛名田比売(くしなだひめ)を救い、妻として迎え、家庭と国土を築く存在へと変化していきます。
参考:クシナダヒメとは?スサノオノミコトの妻、別名は農耕の神 奇稲田姫
この大蛇退治の際に得た剣は、のちに三種の神器のひとつとなる「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」であり、後の天皇家に伝えられる神宝として位置づけられます。スサノオは荒ぶる力を持ちながらも、最終的には秩序をもたらす神として語られ、神道においては疫病除けや災厄除けの神としても信仰されています。
その御神徳は出雲大社や須佐神社などに伝わり、現代においても多くの人々から篤く崇敬されています。スサノオノミコトは、荒ぶる力とそれを制御する知恵、そして再生と繁栄を象徴する神であり、日本神話の中でも極めて人間的な魅力を持つ存在といえるでしょう。