アヌンナキとは?正体は宇宙人?シュメール神話の本当の姿と日本人・日本神話とのつながり

この記事はプロモーションが含まれます。
人類最古の文明・シュメールの粘土板に刻まれた謎の神々「アヌンナキ」。近年は「人類を創造した宇宙人ではないか」という説で世界的に注目を集め、日本でも「日本人のルーツと関係があるのでは」という話題まで広がっています。
この記事では、まずシュメール神話に記された本来のアヌンナキの姿を確認した上で、「アヌンナキ=宇宙人説」がどこから生まれたのか、日本人やアラハバキ神と結びつける説にはどんな根拠が語られているのか、そして日本神話との本当の共通点まで、事実と諸説を区別しながら掘り下げていきます。
広告
シュメール文明とは──人類最古の文明
アヌンナキを知るには、まずシュメール文明から始める必要があります。シュメールは紀元前3500年頃、現在のイラク南部・チグリス川とユーフラテス川に挟まれたメソポタミアに栄えた、記録に残る人類最古の文明です。世界最古の文字である楔形文字を発明し、車輪、60進法(現在の時間や角度の基礎)、法律、都市国家など、現代につながる発明を数多く生み出しました。
あまりに高度な文明が「突然」現れたように見えることが、後述する宇宙人説の土壌になっていくのですが、まずは彼らが残した神話を見てみましょう。
広告
アヌンナキとは?シュメール神話における本来の姿
アヌンナキとは、シュメール神話に登場する神々の集団の総称です。名前は「アヌ(天)の子孫たち」を意味するとされ、天空神アヌと大地の女神キから生まれた神々とその一族を指します。特定の一柱の神ではなく、日本神話でいう「天津神たち」のような集合的な呼び名だと考えるとわかりやすいでしょう。
シュメールの主要な神々には、次のような顔ぶれがいます。
| 神名 | 司るもの | 特徴 |
|---|---|---|
| アヌ | 天空 | 神々の頂点に立つ最高神 |
| エンリル | 風・嵐・大気 | 実質的な支配者。大洪水を起こしたとされる |
| エンキ(エア) | 水・知恵 | 人間の創造に関わり、人類に味方する知恵の神 |
| イナンナ(イシュタル) | 愛と戦い | 金星と結びつく女神。冥界下りの神話で有名 |
| ウトゥ(シャマシュ) | 太陽・正義 | 太陽神。裁きを司る |
シュメール神話では、下級の神々が労働に疲れて反乱を起こしたため、神々に代わって働く存在として粘土から人間が創造されたと語られます。「神が自分たちに仕えさせるために人間を造った」というこの物語が、のちの宇宙人説の重要な素材になります。
広告
アヌンナキの正体は宇宙人?──古代宇宙飛行士説とは
「アヌンナキ=宇宙人」というイメージを世界に広めたのは、1976年に出版されたゼカリア・シッチンの著書『第12番惑星』です。シッチンはシュメールの粘土板を独自に解釈し、次のような説を唱えました。
- 太陽系には3,600年周期で公転する未知の惑星「ニビル」が存在する
- アヌンナキはニビルから約45万年前に地球へ飛来した異星人である
- 彼らは金(ゴールド)を採掘するために、猿人を遺伝子操作して労働力としての人類を創造した
- シュメール文明の突然の高度化は、アヌンナキの知識の伝授によるものである
正直に言えば、この説は学術的にはまったく支持されていません。シュメール語学者からは翻訳の誤りが多数指摘されており、惑星ニビルも天文学的には確認されていません。「神々が人間を粘土から造った」という神話の記述を「遺伝子操作の比喩」と読み替えるのは、あくまでシッチン独自の解釈です。
それでもこの説が半世紀にわたって世界中の人々を惹きつけてきたのは、「なぜ人類最古の文明があれほど高度だったのか」「神話に描かれた神々とは何者だったのか」という、誰もが感じる素朴な謎に大胆な答えを与えてくれるからでしょう。筆者としては、事実と解釈を分けたうえで、こうした説は「現代の神話」として楽しむのが健全な向き合い方だと考えています。
広告
アヌンナキと日本人──シュメールと日本をつなぐ諸説
「アヌンナキ 日本人」という検索が多いように、シュメールと日本を結びつける説は日本のオカルト・古史古伝の世界で長く語られてきました。代表的なものを紹介します。
シュメール=日本人ルーツ説
「スメル(シュメール)」と日本の古語「すめら(皇)」──天皇を意味する「すめらみこと」の音が似ていることから、シュメール人の一部が東へ渡り日本人の祖先になったとする説です。また、シュメールの神々や王を表す紋章と、皇室の菊花紋の形が似ているという指摘もよく引き合いに出されます。音の類似や図像の類似は偶然でも起こるため学術的な根拠にはなりませんが、明治から昭和にかけて一部の研究者や思想家が真剣に論じたテーマでもあり、日ユ同祖論と並ぶ「日本人ルーツ論」の一つとして今も人気があります。
アラハバキ=アヌンナキ説
東北地方を中心に祀られる謎の神・アラハバキを、アヌンナキと結びつける説もあります。アラハバキは記紀に登場せず正体不明の「まつろわぬ神」であること、遮光器土偶を宇宙服姿と見る解釈と組み合わせやすいことから、「縄文の地に来ていたアヌンナキの記憶ではないか」と語られるのです。これも学術的な裏付けはありませんが、正体不明の神と正体不明の神々が結びつけられていく過程そのものが、現代における神話形成のようで興味深いところです。
広告
日本神話とシュメール神話の本当の共通点
宇宙人説を離れても、シュメール神話と日本神話には確かに興味深い共通点があります。
| 共通点 | シュメール神話 | 日本神話 |
|---|---|---|
| 原初の混沌 | 淡水と海水の混じり合いから世界が生まれる | 混沌から天地が分かれ、神々が現れる |
| 多神教 | 自然や役割ごとに神々が存在 | 八百万の神々 |
| 天と地の階層 | 天の神々と地上・冥界の神々 | 高天原・葦原中国・黄泉の国 |
| 冥界下り | イナンナの冥界下り | イザナギの黄泉の国訪問 |
| 嵐の神の乱暴 | エンリルの大洪水 | スサノオの高天原での乱行 |
特に、愛の女神イナンナが冥界へ下り、変わり果てた姿になって戻れなくなる神話は、イザナギ・イザナミの黄泉の国の物語と驚くほど似た構造を持っています。
広告
筆者の考察──類似は「伝播」か「人類共通の心」か
こうした類似をどう説明するかには、大きく二つの立場があります。ひとつは、シュメールの神話がシルクロードや大陸を経て日本まで伝播したとする見方。もうひとつは、比較神話学が示すように、人間は世界のどこでも似た問い(世界はどう始まったか、死んだらどうなるか)を持つため、独立に似た物語を生み出したとする見方です。
筆者は基本的には後者、人類共通の心が似た神話を生んだという見方が自然だと考えています。ただ、メソポタミアの文化が長い年月をかけて東アジアに影響を与えた可能性まで否定はできず、「もし何かが伝わっていたとしたら」と想像しながら両方の神話を読み比べるのは、何よりの知的な楽しみです。アヌンナキを入り口に、実際のシュメール神話と日本神話を読み比べてみると、都市伝説よりずっと面白い発見があるはずです。
広告
まとめ
アヌンナキとは、本来はシュメール神話に登場する神々の集団の総称で、天空神アヌの子孫たちを指します。「宇宙人が人類を創造した」という説は1970年代のゼカリア・シッチンの独自解釈に始まるもので、学術的には支持されていませんが、シュメールと日本を結びつけるスメラ説やアラハバキ説とともに、現代人の想像力をかき立て続けています。
一方で、冥界下りや嵐の神の物語など、シュメール神話と日本神話の構造的な共通点は本物です。事実と説を分けて楽しみながら、人類最古の神話と日本の神話を読み比べてみてください。5000年前の人々と私たちが、同じ問いを抱えて生きてきたことに気づくはずです。






