
日本の成り立ちを語る上で欠かせない「国生み神話」は、古事記に記された神々の物語です。この神話は、日本列島がどのようにして生まれたかを説明し、伊邪那岐神と伊邪那美神による創造の旅を描いています。淡路島から始まり、数々の島々が次々と誕生する様子は、まさに神秘的。この記事では、国生み神話の核心をわかりやすく解説し、その背後にある意味や、神話が今日の日本に残す足跡を探ります。
古事記の「国生み神話」とは
古事記に記された「国生み神話」は、日本列島の起源を語る神話の一つです。この物語は、天地が初めて形成された時のことを描いており、伊邪那岐神(いざなぎ)と伊邪那美神(いざなみ)という二柱の神様が登場します。彼らは、混沌とした原初の海に矛を差し込み、かき混ぜることで最初の島を創造しました。この神話は、日本の多くの島々がどのようにして生まれたかを説明する物語として、後世に大きな影響を与えています。
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「国生み」はどの神様が行った?
「国生み」を行ったのは、伊邪那岐神と伊邪那美神です。彼らは、高天原の神々から下界の海を治め、新たな国を創造する任務を受けました。
天の浮橋に立ち、天瓊矛(あめののぎほこ)と呼ばれる神聖な槍を海に差し込み、海水をかき混ぜることで、滴り落ちた海水が固まり、最初の島が誕生しました。この行為を通じて、伊邪那岐と伊邪那美は、日本列島の基となる多くの島々を生み出しました。
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国生み神話の島は淡路島?
国生み神話において最初に生まれた島は、淡路島とされています。イザナギと伊邪那美が天の浮橋から海に矛を差し込み、かき混ぜた後に引き上げた際、矛の先から滴り落ちた海水が固まってできた最初の島が、現在の淡路島にあたると伝えられています。この淡路島は、「国生み」の始まりの地として、古事記において特別な位置づけをされており、日本の神話における重要な役割を果たしています。
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国生み神話でできた島の順番
実は国生み神話で島(国)ができた順番は、古事記と日本書紀で違っています。古事記と日本書紀で編纂の目的や立場の違いが背景にあると考えられます。
古事記の場合(和銅5年・712年編纂)
最初に生まれたのは淡路島(あわじしま)であり、次に四国・隠岐・九州・壱岐・対馬・佐渡・本州(大倭豊秋津島)と続きます。
本州(大和)は最後の方に登場します。
日本書紀の場合(養老4年・720年編纂)
最初に生まれたのは大日本豊秋津洲(本州)であり、続いて淡路島や九州などが生まれます。
つまり、本州=中心の大和が最初に生まれたとされています。
なぜ順番が違うのか?その背景と意味
この違いには、編纂の目的や思想、政治的立場が関係しているとされます。
編纂目的の違い
『古事記』は、語り部の伝承を元にして物語性・神話性を重視しており、ある種の自由度を持っています。天皇の正統性の根拠を示す一方で、民間伝承や古層の神話を多く残しています。
一方『日本書紀』は、国家の正史として中国風の書式で編纂され、対外的な正統性と体系性を重視しています。唐への国際的な配慮や、中央集権体制を正当化する意図が明確に見て取れます。
そのため、日本書紀では大和政権のある本州を最初に創造された中心の国とする記述が採用された可能性が高いです。
政治的正統性の表現
『日本書紀』は、特に大和朝廷(天皇家)による日本統治の正統性を神話的に根拠づけるために、本州=日本の中心を最初に創ったとしたと考えられています。
本州が最初であるという記述は、天皇の国土支配が宇宙開闢と同時に定められていたという象徴的意味を持ちます。
一方『古事記』では、必ずしも本州を最初にせず、島々の生成を順に描き、神々の活動とともに自然に国土が生まれていく過程を物語的に表現しているため、構成が異なるのです。
信仰・地理観の違い
古代において、島嶼をめぐる神聖性の観念もあったため、淡路島などを先に据えることで霊的中心として描いた可能性も指摘されています。とくに淡路島は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の終焉の地とされ、神格の高い島と見なされていたため、古事記では最初に登場したとも考えられます。
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国生み神話に関連する神社
国生み神話に関連する神社は、日本各地に存在しますが、特に淡路島には重要な神社がいくつかあります。淡路島は国生み神話における最初の島とされているため、この地には神話の始まりを祀る神社が多く存在します。代表的な神社には、以下のようなものがあります。
- 伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう): 淡路島にある伊邪那岐神を主祭神として祀る神社で、国生み神話の根幹をなす神様を祀っています。
- 伊弉冉神宮(いざなみじんぐう): 淡路島にある伊邪那美神を祀る神社で、国生み神話における女性神の役割を讃えています。
これらの神社は、国生み神話を今に伝える重要な場所として、多くの参拝者で賑わっています。神話に登場する神々を祀るこれらの神社は、日本の神話や歴史に興味がある人にとって、訪れる価値のある聖地です。
国生みの神様、伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)淡路島最強パワースポット