天津罪(あまつつみ)と国津罪(くにつつみ)、神道の罪の違い

神道には、「天津罪(あまつつみ)」と「国津罪(くにつつみ)」という罪の概念があります。これは、『延喜式(えんぎしき)』や『大祓詞(おおはらえのことば)』に見られる神道の教えで、日本人の倫理観や宗教観に深く根付いています。本記事では、天津罪と国津罪の違いや、それが日本神話においてどのように扱われているのかを解説し、高天原(たかまのはら)でスサノオノミコトが犯した罪の物語にも触れながら理解を深めていきます。

天津罪とは?天に背く罪

天津罪の意味

天津罪(あまつつみ)とは、「天津神(あまつかみ)」、つまり天上界の神々に対して犯される罪を指します。これらは、宇宙の秩序や天の理(ことわり)を乱す行為とされ、特に高天原(たかまのはら)に住む神々の世界における罪とされます。

天津罪の具体例

天津罪は、主に農耕を妨害する人為的な行為に関連する罪を指します。これらは神話においてスサノオが高天原で犯した行為と関連付けられています。『延喜式』や『大祓詞』によると、天津罪には以下のようなものが含まれます。

種類 内容
天津罪(あまつつみ) 天上界(高天原)に関わる罪、神々の秩序を乱す罪
畔放(あはなち) 田の畦(あぜ)を壊すこと、水を引けなくする行為
溝埋(みぞうめ) 水路を埋めること
樋放(ひはなち) 灌漑施設を壊すこと
生剥(いきはぎ) 生きたまま皮を剥ぐこと
逆剥(さかはぎ) 動物の皮を逆向きに剥ぐこと
屎戸(くそへ) 宮殿や神域を汚すこと(糞尿を撒くなど)
不浄行為 穢れ(けがれ)を撒き散らすこと
近親相姦 血縁関係にある者同士の交わり
神の権威を侵害 神々の尊厳を傷つける行為

国津罪とは?地上世界の罪

国津罪の意味

国津罪(くにつつみ)とは、「国津神(くにつかみ)」、つまり地上界(葦原中国)における罪を指します。天津罪が天の秩序を乱す罪であるのに対し、国津罪は人間社会における秩序を乱す罪とされ、日常生活や人々の間の関係性において問題となる行為が含まれます。

国津罪の具体例

国津罪は、主に血の穢れ、身体的異常、反社会的な性行為、天災、呪いなどに関連する罪を指します。国津罪には以下のようなものが挙げられます。

種類 内容
国津罪(くにつつみ) 地上世界(葦原中国)に関わる罪、人間社会の秩序を乱す罪
殺人(ひとごろし) 人を殺すこと
生膚断(いきはだたち) 生きている人に傷をつける行為
死膚断(しにはだたち) 死体を損壊する行為
盗み(ぬすびと) 他人のものを奪うこと
不義(ふぎ) 道徳に反する行為
妄言(もうげん) 偽りを広めること、虚偽の発言
呪詛(じゅそ) 他人を呪うこと
婚姻の禁忌 血縁関係を無視した婚姻

 

日本神話における天津罪と国津罪の事例

スサノオノミコトが犯した天津罪

日本神話には、天津罪を犯した代表的な神が登場します。それが、須佐之男命(スサノオノミコト)です。

スサノオは、イザナギから「海原(海の世界)」を治めるよう命じられましたが、これを拒否し、死んでしまった母、イザナミに会いたいと泣き叫びました。そのため、彼は高天原に上ることを許されます。しかし、そこで次々と天津罪を犯してしまいます。

田の畦を壊す(畔放)

スサノオは乱暴に田を駆け回り、田畑を荒らしました。

宮殿に糞をまき散らす(屎戸)

天照大御神の宮殿の中に糞を撒き散らし、穢れを広げました。

織女の機織小屋を破壊し、侍女を死なせる

天照大御神の織女が機織りをしているとき、スサノオは皮を剥いだ馬を投げ込み、驚いた織女は機織機で負傷し、死亡してしまいました。

 

これらの行為は高天原の秩序を乱すものであり、天津罪として重く見られました。結果として、天照大御神は天岩戸(あまのいわと)に隠れ、世界は闇に包まれます。この事態を収めるため、八百万の神々が協力して天照大御神を岩戸から引き出す「天岩戸神話」が展開されます。

最終的にスサノオは高天原を追放され、出雲の国へと降ります。ここで彼は八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、国津神としての道を歩むことになります。

天津罪と国津罪の違いを整理

罪の種類 特徴
天津罪 天上界(高天原)に関わる罪 田畑の破壊、宮殿の汚染、神々への冒涜
国津罪 地上世界(葦原中国)に関わる罪 殺人、盗み、詐欺、人間関係の禁忌

天津罪は神々の秩序を乱す行為であり、国津罪は人間社会の秩序を乱す行為であるという違いがあります。

大祓詞(おおはらえのことば)による浄化

日本では、これらの罪を清めるために「大祓(おおはらえ)」が行われます。特に、6月と12月に行われる夏越の祓(なごしのはらえ)や年越の祓(としこしのはらえ)は、天津罪や国津罪を祓い清める重要な儀式です。

大祓詞の中では、天津罪や国津罪を犯したとしても、神々の力によって罪や穢れを清め、再び正しい道へと戻れるとされています。

まとめ

天津罪と国津罪は、神道における罪の概念を理解する上で重要な要素です。スサノオノミコトの物語からも分かるように、天津罪は神々の秩序を乱す罪であり、高天原からの追放という厳しい罰が与えられました。一方で、国津罪は人間社会の秩序を乱す罪であり、現代の法律に通じる側面があります。

このように、日本神話や神道における罪の概念を知ることで、日本人の倫理観や宗教観の成り立ちを深く理解することができます。

 

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